区分所有マンションの一棟全体を対象建物とし、リノベーション協議会が定める、適合リノベーションの品質基準に則り、検査・工事・報告・保証・住宅履歴蓄積といった一連のフローに、「保険」を付保した"優良な"一棟リノベーション及びリノベーション住宅をR3住宅といいます。
事業主基準
一棟全体のリノベーションでは、共用部にも事業者の責任がおよび、事業として重大なリスクを負うこともあり、大きな不安を抱えています。住宅の検査等に関する公的な基準は各種ありますが、融資、管理、劣化など基準ごとに観点が異なるため、一棟全体のリノベーションにおいて必要と考えられるすべての領域をカバーするものはありませんでした。
R3住宅の基準では、区分所有マンションの共用部を安心なものとするため下記を重要項目とします。
優良な一棟リノベーションとしての品質確保と情報開示を目指し、それら重要項目に対して、国の施策との連携や第三者機関による客観性の高さを重視する観点より公的基準・制度を主に組み合わせ、必要な領域と統一基準を定めています。
消費者の大きな不安要素である耐震性については瑕疵保険の基準を採用しています。また、瑕疵保険を付保することにより、消費者だけでなく事業者の安心も担保します。
新耐震基準に適合している、もしくは新耐震基準同等の耐震性能を有することが条件となります。
R1住宅での専有部検査と同様に、共用部についても劣化状況を確認し、瑕疵保険を付保できる基準まで改修します。
瑕疵があった場合に、事業主・購入者ともに損害が大きな部位でもあるため、事業主のアフターサービスをバックアップする5年間(一部設備については2年)の瑕疵保険を付保します。(該当項目の事業主が定めるアフターサービス期間は保険会社による保険期間以上とする必要があります)。
一棟全体のリノベーションでは、元は社宅や賃貸住宅等のケースが多く想定されますが、その場合は管理計画や長期修繕計画が定められていません。そこで、適正な管理規約や長期修繕計画といった主に建物ソフト面の基準として、東京都優良マンション登録表示制度をR3住宅基準のひとつとしました。
適正な修繕維持積立金がされていないと、将来多額の一時金の発生、修繕積立金の大幅な増額等が発生してしまいます。そこで、東京都優良マンション登録表示制度の推奨する築年数別の修繕積立金額を上回る積立金を行うことを定めています。
(東京都優良マンション登録表示制度、定期報告制度)
改修完了時にいくら基準を満たしていても、入居後の点検が不十分では安心できません。東京都優良マンション登録表示制度で定められている、特殊建築物等5つの定期調査報告について、定められた頻度でエレベーター等の設備や消防検査等を行うことを義務化しています。
改修履歴を蓄積することで、適切な維持管理を行うことができ、将来のリノベーションの際も役立ちます。また安心した住宅取引、災害や事故の際の適切な対応が可能となります。