2026.08.31
株式会社モリタ装芸
地方都市である新潟。戸建で暮らし、夫婦それぞれが車を所有する。これが地方でのスタンダードな暮らしなのではないだろうか。
夫婦が求めた暮らしは、地方でのスタンダードには反し、新潟の中心部でマンションに暮らすということだった。
新潟・古町の商店街沿いにたたずむマンション。いくつかの物件を見た中で、「立地・築年数・管理状態・過去の修繕記録と今後の修繕計画・予算」これらの条件を満たすこの物件が選ばれた。
ただ一つ条件を満たさなかった、広さはリノベーションに可能性を託された。
間仕切りや建具で区切られ、窮屈な印象だった2LDKの間取りは、極限まで無駄をそぎ落とし、無個性で開放的なワンルームの空間へと生まれ変わった。
SNSには個性的な家が溢れている。無垢の床や特徴的な素材。どれも素敵なのに、気づけばどこか似ている。地域素材や自然素材も、本来はその土地や暮らしと向き合うための手段だったはずが、いつしか、使うこと自体が目的になり、「何を使ったか」が「どう暮らすか」より先に語られる。完成された建築が個性を持ちすぎた結果、暮らしの個性が見えにくくなってはいないだろうか。舞台は新潟・古町。古くから新潟の中心として栄えてきた街だ。昔からの店や建物が残る一方、新しい店や若い人たちの活動も生まれている。一つとして同じものが無く、異なる個性が隣り合い、混ざり合う。それがこの街の個性なのだ。そんな街で夫婦が選んだのは、無個性な家。空間は白とグレーで統一され、壁や建具、装飾は極限まで削ぎ落した。あえて無個性にすることで、何色にも染まっていないキャンバスをつくったのだ。そこに色を加えるのは、住む人の暮らしと、この町の日常だ。食卓には古町で選んだ器に盛られた料理が並ぶ。好きな名作家具に座りながらドラマを観る。窓の向こうには神社の緑や新潟の花火が広がる。何気ない日常の一つ一つが、この無個性な空間を少しずつ色づけていく。この家はリノベーションが終わっても完成していない。きっと、この先も完成することはないだろう。住む人の暮らしが続く限り、個性が重なり続ける。無個性であることは、何よりも個性的なのかもしれない。
| 費用 | 1600万円(税込) | 物件種別 | マンション |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | |
| 築年数 | 39年 | 面積 | 62.11㎡ |
| 施工期間 | 3ヵ月 | 構造 | SRC |