2026.08.31
株式会社i-Plain
たまたま見つけた状態の良い家を購入し、これを機に入籍することにした。
築25年の木造枠組み工法の住宅だった。
夫婦になったばかりの二人はインテリアの好みが真逆だった。シンプルが好きで素材を楽しみたい夫と、色や柄物をふんだんに取り入れたい妻で、こだわりもお互いに強いため妥協も譲歩もしなかった。稀に見つかる、お互いが好きと思える共通項を地道に探していくことにした。
猫の幸せも譲れない重要な要素だった。猫がただのびのびと窓辺で日向ぼっこしていられるような、穏やかで緩やかに過ごせるような家にしたい。それが、自分たちが美しいと思える形であることも大切だった。
無垢の木のキッチン、DIYの漆喰壁、山桜の床、リビングの現し梁、階段のタイル、etc。
猫の上下運動、パトロールスポット、日向ぼっこスペース。
全部取り入れた家にしたかった。
この家で暮らす生き物たちの好きなもの、大事なもの、要素を全て足していった。そして、ひとつの場所に、人と猫それぞれの意味を重ねた。
壁面収納は人間の収納であり猫の通り道で、造作ベンチは人間の腰掛けであり猫の日向ぼっこスペース。窓は光を取り込みながら猫のパトロール経路。
各室の壁には、ドアを閉めても猫が自由に行き来できる猫穴を設けている。専用の設備を足すのではなく、同じ場所を、違う生き方で分かち合える家にしたいと思った。時間も重ねた。
リビングの天井を落とし、飴色の梁を現しにした。既存の下足収納の扉を洗面台で再利用した。洗面台天板と玄関の土間は、いつかひびが入ったら金継ぎで直すつもりでいる。これらを叶えるために、2×4の構造を読み解き、耐力に無駄も不足もないよう間取りを変えた。どうしても無くすことの出来ない耐力壁とまぐさは、室内窓の設置とOSB合板塗装仕上げによって表情を加え、DKとリビングを緩く仕切るアクセントにした。
入居後、猫は想定していなかったリビングの梁にまで自分の居場所を見つけ、私たちが用意した重なりの上に、猫自身の意味をさらに重ねていた。
ここで暮らす生き物全ての好きなものを足し、ひとつの場所に人と猫の暮らしを重ね、既存の構造にも新しい役割と表情を重ねる。さらに新しい使い方や素材の変化が加わっていく。これからもこの家で、大事なものを足して、歴史を重ねていく。
| 費用 | 1800万円(税込) | 物件種別 | 一戸建 |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | その他 |
| 築年数 | 26年 | 面積 | 117.00㎡ |
| 施工期間 | 3ヶ月 | 構造 | 木造枠組工法 |