2026.08.31
株式会社しわく堂
昭和元年築の店舗併用住宅を改修し、2014年の市立病院移転に合わせ現在地に開業した調剤薬局です。当初は背中側の大通りに向けて店構えをとり、病院側からはアクセスが悪く営業状況すら分かりづらい状態でした。
幾度も病院側に開かれた薬局への刷新が検討されましたが、最大の障壁が「休業期間」でした。通常、薬局開設手続きには約1.5ヶ月を要します。加えて本件は建築基準法以前の建物であり、増改築に伴う法適合の難易度が高く、他社は「建て替え」一択でした。しかし敷地面積の都合上、建て替えには既存建物の先行除却が必須となり、さらなる長期休業を招くため計画は頓挫し続けていたのです。休業は地域医療を担う薬局にとって致命的であり、建物の老朽化と不便な動線を抱えたまま営業を続ける他ないという、八方塞がりの状態でした。
休業ハードル解決の糸口は、保健所検査の要である「調剤室」の位置を動かさずに増改築を行う「トランスフォーム型リノベーション」でした。
調剤室を動かさないことで、「構造変更」という新規届出ではなく営業施設の一部の変更という手続きに着目し、
①既存の一部除却、
②病院側に開いた待合室の増築棟への営業スイッチ
③既存店舗部分の改修
という工程上必要なタイミングでの3度の変更手続きを行い、施主・設計・施工の緊密な連携により、15ヶ月の工期中、1日も営業を止めることなく病院側へダイレクトに繋がる完全リニューアルを実現。
また、難解な法規制を丹念に読み解き、増築に伴う確認申請を経て既存不適格を完全に解消。
昭和元年の建物を耐震・断熱・防火等において現行法へ適合させて「検査済証」を取得し、建物の性能と資産価値を大幅に向上させました。
新店舗のテーマは「インクルーシブ」。単なる「薬を渡す場所」から、「セルフメディケーションの相談・支援拠点」へと変容する薬局の社会的役割を見据え、
*車椅子でも自律して利用できる動線、自立して利用しやすいトイレ
*ゆっくり出入りできる軒の深いアプローチ
*相談しやすい、ゆとりのある投薬カウンター
*緊急避妊薬等の相談に配慮した個室
*落ち着きのある内装デザイン
を備えたデザインで、新規顧客層増加にも貢献する現代的な薬局にリニューアルしました。
| 費用 | 5150万円(税込) | 物件種別 | その他 |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
その他 | 家族構成 | |
| 築年数 | 100年 | 面積 | 175.39㎡ |
| 施工期間 | 15ヶ月 | 構造 | 木造 |