2026.08.29
有限会社ひまわり
木材に残る「い、ろ、は、に、ほ、へ、と」や「一、二、三、四、五」。
いまではプレカット材に機械印字されることがほとんどの柱番付。この家の小屋裏には棟梁の手書きで残っていた。
材を選び、刻み、組み上げた当時の職人の息遣いが聞こえてくるようだった。
当初、この家は新築用地として、解体を前提に検討していたお施主様。
一緒に小屋裏へ上がり、梁や架構を見た。ご実家で材木店を営んでいた遠方のお父様にも来てもらい、木組みや木材を見てもらった。
「これは、壊したらもったいなか。(九州地方の方言でもったいない。)」棟梁にそう言われた気がした。
福岡市内でありながら、市街化調整区域。
都会の便利さと、田舎の豊かさが混在する希少な場所。
都会と田舎の良いとこ取り=とかいなか。
築37年の平屋を、次の時間へつなぐ。
とかいなかで、解体ではなくリノベーションを選択した家族。
市街化調整区域に建つこの住宅で、最初に向き合ったのはデザインではなく、「この家をこれからも住宅として受け継いでいけるのか」という問い。
2025年4月の建築基準法改正も踏まえ、建物の規模・用途・構造、接道状況、既存建築物としての経緯を一つずつ調査。行政との確認を重ね、この家を残す選択に根拠を与えていった。
そして建物には、37年前の棟梁が手仕事で組み上げた木造架構が残されていた。今では手に入りにくい木材、同じように組める職人も少ない。梁の曲がりや木の表情、職人の技術、そして37年という時間。それは新築では見出せない価値だった。リノベーションで天井断熱から垂木間に手作業で断熱材を入れたり、柱や梁を磨き直したり、見えない床の補強も行った。筋交いを機能として活かし、LDKを南側へ拡張し光の取り込みと断熱改修も同時に行った。
さらに、敷地には桜、梅、柑橘、椿、枇杷、橙などの木々が根を張り山水が流れる。渓流釣りやキャンプを愛するご夫婦にとって、庭も土も季節も四季の全てが暮らしの一部。
愛するメダカをお世話するエリアが建物と庭をつなぎ、過去と未来をリノベーションでつなぐ。仕事と趣味がほど良い距離で調和する。
これは保存ではなく「受け継ぐ資産」へと変えるために、「とかいなか」だからこそ実現した「もったいなか!」リノベーション。
| 費用 | 1435万円(税込) | 物件種別 | 一戸建 |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | 二人暮らし |
| 築年数 | 36年 | 面積 | 141.62㎡ |
| 施工期間 | 90日 | 構造 | 木造瓦葺平家建 |
お問い合わせ先
〒802-0061 福岡県北九州市小倉北区三郎丸3-14-22 石橋ビル3F
TEL:093-922-6438