2026.08.29
株式会社モリタ装芸
ご主人が幼少期から暮らしてきた思い出深い実家は、亡きお父様の故郷である新潟県村上市山北(さんぽく)地区の山から切り出した木で建てられた、こだわりの詰まった住まいである。北側の裏庭に広がる防砂林からは、心地よい木漏れ日が優しく差し込む。さまざまな建築上の制約があるなかで、ご両親への敬意と共に、この土地に馴染む佇まいを継承するリノベーションを計画していった。
陰影礼讃という言葉がある。実家礼讃は日本家屋の趣を実家への敬意とともにリノベーションした事例である。新潟市中央区、築56年の実家は岐路に立たされていた。建物の老朽化や沿岸部の塩害、複雑な建物形状による地震への不安、さらには一部地目が保安林で、建物が越境しており減築が必要になるなど問題は山積みであった。建て替えであれば問題は解決しやすかったが、リノベーションを選択。
理由は実家が好きだから。刻まれた柱の傷、どこか懐かしい暗がりの廊下、優しい日が差す縁側、不思議と落ち着く茶の間。家にとって、耐震や断熱などの性能、快適な間取りは欠かせない。その上で、実家への愛着や目に見えないものをかたちにすることは、唯一、リノベーションならできる。実家はネガティブに捉えられることが多い。しかし、他に替わりがないことも事実。建築当時の大工への感謝、情緒が残る間取り、何より亡きご両親への敬意。実家礼讃。
「減築」は敷地に余裕を与え、形状が整い耐震改修で評点1.37に改善。新潟市の耐震改修補助金160万円を取得した。「塩害」対応も兼ねた焼杉の外壁は、古き良き佇まいを継承した。また、回遊するいくつもの「廊下」は全て繋がり、断熱改修により家中快適になった。実家と向き合った結果、問題はいつしか実家であり続けるための理由になっていった。新たな門出を迎えた実家は、今までと変わらずに日常と思い出が積み重なっていく。
| 費用 | 3600万円(税込) | 物件種別 | 一戸建 |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
持ち家のリノベーション | 家族構成 | ファミリー |
| 築年数 | 55年 | 面積 | 138.17㎡ |
| 施工期間 | 6ヶ月 | 構造 | 木造 |