2026.08.28
有限会社ひまわり
リノベーションは、新しい間取や美しい空間だけではない。そこにある時間や記憶を受け継ぎ、性能や使い方を整え、次の暮らしへつなぐ。その先に、住まう人の心が動く瞬間までつくれないだろうか。
「院展に入選するって、どれくらい難しいことですか」。
以前、ある日本画家に尋ねると、「野球で言えば、日本代表に選ばれるようなもの」と返ってきた。
岡倉天心の志を継ぐ日本美術院の院展。院展作品は、売れるための作品ではない。画家は自らと問答を重ね、一枚に幾月もの時間を刻む。その末に、院展同人の審査を経て入選へ辿り着く。
けれど、その作品と出会う場所は美術館や展覧会が中心で、芸術はいつしか出かけて会いに行くものになった。
ならば、リノベーションで生まれ変わった住まいに、日本画が受け継いできた技と美意識まで迎え入れられないだろうか。
暮らしは整った。では、その次は?
2023年、私たちはリノベーションのその先に、芸術を日常へ迎える取り組みを始めた。
日本画家たちが、自らと問答し、伝統技法と現代の感性を重ねて描いた院展入選作品。現東京藝術大学教授の選考を経た、40号の原画を年間10作品ずつ完成したリノベーション住宅に設えている。2026年8月現在33点。そのすべてが美術館やコレクターの手元にではなく、街のごく普通のリノベーション住宅に点在する。
朝と夕方で、同じ絵の表情は変わる。昨日は寂しく見えた色が、今日は温かい。岩絵具に交じる鉱石のきらめきが感情に訴えかける。
コスパやタイパ、答えへ早く辿り着くことが価値となった時代。けれど、人生には白黒つけられないことの方が多い。分からないものを、分からないままそばに置く。曖昧さを急いで消さず、想像しながら付き合っていく。そんなグラデーションに慣れることも、これからの暮らしには必要なのではないだろうか。
「何に見える?」「私はこう思う」。正解はない。住まいには数値化されない価値がある。一枚の絵の前で子どもが立ち止まった時間も、住まいが生む豊かさだ。
33点は通過点。100へ、200へ。作品が家庭へ渡り、その対価が画家の次の一枚へ還る。
芸術を、美術館から日常へ。私たちの分散型おウチ美術館は、これからも続く。「リノベーション住宅に院展入選作品が日本一ある街」を目指して。
| 費用 | 物件種別 | その他 | |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
その他 | 家族構成 | |
| 築年数 | 3年 | 面積 | 1.00㎡ |
| 施工期間 | 2023年~ | 構造 | 複数住戸横断造 |
お問い合わせ先
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TEL:093-922-6438