リノベーション事例

2026.08.27

揺らぎと民藝のあわいに暮らす

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年末年始の休暇中、趣味のように物件情報を眺めていた。
目に留まったのは、職場へのアクセス、立地、価格、そのどれもが申し分なく、すでに解体されフルスケルトンになった一室だった。

「これは……私が買うほか、誰が買うんだ?」

いつか自分の住処を持ちたいと思っていた私にとって、まるで“リノベーションを待っている”ような物件との出会い。
そうして始まった自邸リノベーション。

目指したのは、整いすぎた住まいではなく、揺らぎや不完全さを受け入れ、時間とともに育つ暮らし。
民藝に見る、つくり手の痕跡や素材の個性、均一ではないものの美しさを現代の住まいへどう取り込むか。
設計者であり施主でもある自分自身を実験台に、住まいづくりが始まった。

整いすぎないことを心地よいと思える住まい。

民藝や古いもの、誰かの手の跡が残るものに惹かれてきた、設計者でもある施主が目指したのは、均質な美しさではなく、素材の揺らぎや不完全さまで暮らしの一部として受け入れられる空間だった。

柳宗悦の「見テ知リソ 知リテナ見ソ」という言葉のように、知識やネームバリューよりも、まず自分の目で見て、触れて、心が動くものを選ぶ。木、左官、サイザル、金属など異なる質感を重ね、黒やグレーの無機質な要素と組み合わせることで、民藝を現代の暮らしへと再解釈した。

民藝とモダン、整いと不完全さ。その「あわい」に余白を残し、器や家具、植物、日々の営みが加わることで、住まいは少しずつその人らしい風景へと育っていく。

新しさや均一さだけを価値とせず、今あるものを見つめ、活かし、新たな価値を見出す民藝の思想は、リノベーションという行為ともよく似ている。

完成をゴールとせず、傷や経年変化さえ味わいとして受け入れながら、暮らしとともに少しずつ完成していく。そんな「暮らしの器」を目指した。

費用 1890万円(税込) 物件種別 マンション
リノベーション
形態
中古を買ってリノベーション 家族構成 二人暮らし
築年数 42年 面積 69.30㎡
施工期間 4か月 構造 RC造

間取り

BEFORE スケルトン

AFTER 2LDK+WIC

お問い合わせ先

株式会社sumarch

〒450-6419 愛知県名古屋市中村区名駅3-28-12 大名古屋ビルヂング19F

TEL:052-893-9760

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