2026.08.27
株式会社アートアンドクラフト
父が購入したのは、自宅の隣に建つ当時築44年の戸建て住宅。もともと30年以上使われずに残されていた建物でした。子どもたちがいつか孫を連れて帰ってきたときの住まいになれば。そんな想いから購入したものの、その後も長年使われることはありませんでした。時を経て「この建物まだ使えますか?」と不安そうに相談に来た息子夫婦。それもそのはず、室内には30年以上前のカレンダーが残されたまま。まるでタイムスリップしたような空き家でした。ご家族総出で片付け、内部を丁寧に解体し、建物の身体検査からスタート。調査の結果、構造は健全で、必要最低限の修繕で活用できることがわかりました。解体も選択肢にありましたが、「壊す」のではなく「生かす」という選択が現実になりました。
過疎化が進む地方では、残された空き家が増え続けています。今回着目したのは、実家の隣に30年以上使われずに残されていた一軒の住宅。これを子世帯の住まいとして再生し、親世帯と子世帯が歩いて数秒の距離で暮らす「ご近所で二世帯」を実現しました。
その暮らしを支えるため、1階は閉鎖的だったキッチンと和室を、広い玄関とコモンスペースとなるLDKへ更新。中二階・3階はプライベート空間とし、洗面の新設や、実家と反対側へ寝室を配置、視線を遮る間仕切り壁など、近くに住みながら心地よい距離を保つ設計としました。
この計画は、特別な条件があって実現したものではありません。もともと役割を失っていた住宅に、父は「いつか家族が使うかもしれない」という未来を託し、子世帯は自分たちの暮らしに合わせて新たな役割を与えました。空き家をリノベーションし、次世代の住まいとして住み継ぐ。その先には、建物を残すだけではない価値があります。親世代が暮らす地域に子世代が戻り、そこでまた次の世代が育っていく。そんな「世代の循環」を生み出すことが、空き家を活かすリノベーションの価値であり、地域の未来をつなぐ一つのきっかけになると考えます。さらに、こうした既存ストックが、親元へのUターンを考える若い世代にとって、地方で暮らし、子どもを育てるための住まいの受け皿になることを期待しています。
| 費用 | 3290万円(税込) | 物件種別 | 一戸建 |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
その他 | 家族構成 | ファミリー |
| 築年数 | 46年 | 面積 | 129.24㎡ |
| 施工期間 | 4ヶ月 | 構造 | 鉄筋コンクリート造 |