2026.08.26
株式会社rezotto
築24年、鉄道沿線に建つ低層の壁式RC造マンション。その最上階・角住戸は、眺望とプライバシーに恵まれる一方、温熱環境には厳しい条件を抱えていた。
同一プラン・同一仕様の中間階・中住戸と比較すると、屋根、側面外壁、開口部に加え、各取り合いに生じる構造熱橋の影響も大きく、専有部単位の外皮熱損失量は二倍以上となる。ここでの性能向上は付加価値ではない。生活の質を確保するために不可欠な条件である。
さらに、壁式RC造の構造壁は動かせず、間取りの選択肢を限定する。厳しい温熱条件を解きながら、動かせない壁の内側に、いかに暮らしの自由を見いだすか。改修は、性能と意匠に横たわる二つの制約に向き合うことから始まった。
海に近い戸建住宅を購入し、震災による被害への不安を抱いた夫婦。二度目の住宅購入では、マンションをこれからの人生を過ごす住まいとして選んだ。私たちが向き合ったのは、住戸の表面ではなく、二人が住まいを選び直した理由である。
最初に描いたのは、間取りではない。性能を特別な付加価値として掲げるのではなく、設計者が果たすべき当然の仕事として、断熱・気密、換気量、電気容量、照度を一つずつ丁寧に検証した。熱的に不利な最上階・角部屋でUA値0.48、ZEH水準を達成。中央制御式空調機器と床ダクト式全熱交換換気設備を組み合わせ、全館空調を実現している。
必要な性能を定めたことで、意匠の自由領域が明確になった。だが、多くの情報と選択肢が交錯するなかで、当然すべきことを最後まで貫くのは容易ではない。打合せを重ね、検討の意味を段階的に共有し、完成までの道筋をともに整えた。
間取りの自由だけが、自由設計ではない。生活の質を確保することこそ、自由設計の本分だ。製作建具、木材、漆喰などの自然素材を用い、住まいと暮らし方の自由を再構築した。その成果は、窓の先を走る列車を眺め、夫婦で晩酌を楽しむ穏やかな時間に表れている。
目に見える美しさだけでなく、その奥にある暮らしの根拠まで粛々と積み上げる。それが、私たちの考えるリノベーションである。
| 費用 | 2860万円(税込) | 物件種別 | マンション |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | 二人暮らし |
| 築年数 | 23年 | 面積 | 95.17㎡ |
| 施工期間 | 4カ月 | 構造 | RC造 |
お問い合わせ先
〒440-0888 愛知県豊橋市駅前大通3‐106-2 ラ・フォリア1F
TEL:0532-26-4865