2026.08.25
札幌アポロ株式会社
間取りに、大きな不満があったわけではない。
回遊できるキッチン、各室の配置、そして既存の防音室。
今の暮らしに活かせるものは、すでにそこにあった。
だから、すべてを壊してつくり直すことはしなかった。
一方で、床、壁、天井、照明、そして素材同士が出会う細部には、まだ変えられる余地がある。
変える必要のないものは、変えない。
変えるなら、徹底的に質を上げる。
間取りという「形」ではなく、素材の手触り、光と影、そして数ミリの納まりまで。
このBEFOREから始まったのは、図面の変化では測れないリノベーションだった。
BEFOREとAFTER。
二枚の間取り図を並べても、大きな違いはない。
それは、このリノベーションで変えたかったものが間取りではなかったからだ。
変える必要のないものは変えない。
既存の防音室はその性能を活かし、必要な部分だけを慎重に改修した。
その代わり、徹底してこだわったのは、素材と光、そして納まり。
床には木目や節を楽しめる無垢材、天井には羽目板、玄関とキッチンにはタイル、均一ではない素材そのものの表情を空間の主役にした。
素材を選ぶのは、デザインの始まり。
どう光を当て、どう納めるかまでが、建築だ。
キッチン、天井、収納の棚裏には間接照明を忍ばせ、光源を見せず、木目やタイルの凹凸に生まれる陰影を引き出した。
羽目板天井の点検口は切れ目だけが見えるように。建具枠下の敷居は見付10mmまで細くしながら、壁内では厚みを持たせ強度を確保。
素材の取り合い、コーキングの色、配線や設備の見え方まで整えた。
見せたいものには、光を。
見せたくないものには、技術を。
図面には表れない場所にも、素材を選ぶ理由があり、光を置く理由があり、1ミリを納める理由がある。
変えたのは、間取りではない。
暮らしの質感だ。
| 費用 | 1750万円(税込) | 物件種別 | マンション |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
持ち家のリノベーション | 家族構成 | 一人暮らし |
| 築年数 | 37年 | 面積 | 70.95㎡ |
| 施工期間 | 3ヵ月 | 構造 | 鉄筋コンクリート造 |