2026.08.20
有限会社中川正人商店(ASTER)
既存物件は、上通アーケードに面したテナントビルの2階部分と、その奥の裏庭に残された古い木造平屋から構成され、アーケード側から店舗の全体像は見えず、入口も小さい。細い階段を上り、さらに建物の奥まで進まなければ、裏庭や木造平屋の存在には気づくことができない。
また、鉄骨造のテナント部分と木造の離れは、建築年代や構造、雰囲気が異なり、一つの店舗として使うには動線や空間構成に多くの課題があった。
一般的には不利と考えられる奥まった立地と複雑な建物だったが、本計画ではそれらを解消すべき欠点ではなく、この場所にしかない魅力として捉えた。解体を進める中では、壁内部から鉱滓煉瓦(コウサイレンガ)、天井裏からは昭和初期の古い看板が発見された。
改修によってすべてを新しくするのではなく、建物に残された素材や記憶を読み取り、次の空間へどのように継承するかが計画の重要なテーマとなった。
熊本市の上通アーケード沿い。細い階段を上り、テナントビルの2階奥へ進むと、街なかとは思えない裏庭と古い木造平屋が現れる。
この少し不思議な立地をそのまま店の個性として捉え直し、誕生したのが「裏庭のもんじゃ」、通称「うらもん」である。
計画地は、ビル2階のテナントと、そのさらに奥に残された木造の離れからなる。
2階は「倉庫でもんじゃ」をテーマに、既存のラフな雰囲気を生かした無骨で活気のある空間とした。
壁や間仕切りには木目の突板を用い、畳ベンチの座面下には収納を設けることで、限られた面積の中に客席と機能を両立させている。
一方、裏庭に建つ木造平屋の「離れ」は、昔のおばあちゃんの家を思わせる素朴で温かな空間とした。
解体時に壁の中から現れた鉱滓煉瓦(コウサイレンガ)や、天井裏に残されていた昭和初期の古い看板を意匠として生かし、空間の積み重ねてきた記憶を引き継いだ。
入口を探し、階段を上り、奥へ進み、裏庭と離れへたどり着く。店舗として不利にも思える立地条件を、店を発見する楽しさへと変えている。
まちの裏側に取り残されていた空間を、人が集い、語らい、また訪れたくなる場所へ。建物の不便さや古さを消すのではなく、この場所にしかない価値として表舞台へ引き出したリノベーションである。
| 費用 | 物件種別 | その他 | |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
その他 | 家族構成 | その他 |
| 築年数 | 58年 | 面積 | 77.91㎡ |
| 施工期間 | 2カ月 | 構造 | 鉄骨造+木造 |
お問い合わせ先
〒862-0976 熊本県熊本市中央区九品寺2-4-26
TEL:096-372-6882