2026.08.18
株式会社NENGO
宮脇檀建築研究室が1985年に手がけた住宅地計画「高幡鹿島台ガーデン」の一角に建ち、公園の緑に向かって大きな開口部を持つ木造2階建である。断面構成により外部環境を室内へ引き込む佇まいだったが、造成地特有の不同沈下が発生。点検口もほとんどなく、見えない部分でのシロアリ被害や腐朽・破損のリスクを抱えていた。解体前提で市場に出ていたこの住宅に対し、費用と対策方法を購入前に可視化した。ハードルが高いとされる建築家住宅を次の世代へ、どのように安心してもらいながら引き継ぐかが本プロジェクトの出発点である。
「保存」ではなく「住み継ぐ」ことを掲げ、かつて宮脇檀が設計した住宅を、30代の子育て世帯が安心して暮らせる住まいへ更新した。
晩年の成熟した氏の洗練されたディテールや色使いを丁寧に読み解きながら、次の住まい手の生活へと接続し、次の40年をより長く住めるように解体・空間の再構成を行なっている。
建物が沈下により傾いていたため、擁壁上に建つ基礎下を手彫りで掘削し、杭を打ち込む工法を採用。低コストで耐久性の高い沈下修正を実現した。点検口の少なさや特殊な基礎高さを踏まえ、水回りや湿気の溜まりやすい裏手(南東)を中心に改修範囲を設定。浴室・キッチンは刷新して耐久性とメンテナンス性を高める一方、建具や造作家具、金物など職人仕事の感じられる部分は可能な限り残し再利用した。経年で飴色になった木部を活かし、新たに加える素材は既存に負けない彩度を選定しながらも、氏の特徴的な色使いを引き立たせている。新たな住まい手のため、不要なロフトを取り払って吹き抜けを新設することでハイサイドライトを際立たせ、陰影で見え方の変わる塗装を採用した。
築40年を経過した当時の高品質な住まいが、現代の生活に合わせながらも、その味わいを残しながら住み継がれていく。
| 費用 | 1900万円(税込) | 物件種別 | 一戸建 |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | ファミリー |
| 築年数 | 39年 | 面積 | 147.92㎡ |
| 施工期間 | 4ヵ月 | 構造 | 木造 |