2026.08.18
株式会社ニューユニークス
さいたま市に建つ、築34年のマンション。76㎡の角部屋は風通しも良く、一部屋分ほどの広さを持つルーフバルコニーが広がる。
この街で育ったI夫妻は、互いの実家も近いこの場所に、娘と暮らす住まいを構えた。
このマンションには、床を全面カーペット張りにするという規約があった。一般的には物件選びの制約にもなり得る条件。しかし、妻にとってはむしろ好都合だった。
「ホテルライクな空間が好きで、特にクラシックモダンなホテルに惹かれていました。重厚感のあるカーペット敷きの床だったり、最近は木の壁を取り入れているところも多くて。そういうホテルならではの設えが好きなんです」。
妻が求めていたのは、ホテルの意匠だけでなく、そこで感じる心地よさまで日常へ持ち帰ること。
非日常のためにつくられたその心地よさを、家族が毎日を過ごす住まいにどう成立させるか。I邸の家づくりは、そこから始まった。
ホテルライクな空間の魅力は、生活感を感じさせない美しい景色。そして、そこに流れる静かで上質な空気感もまた、人を惹きつける価値である。しかし、非日常の中では心地よく感じられることも、毎日の暮らしとなれば、不便やストレスに変わることがある。だからといって、その美しさを諦める必要はない。
本事例が目指したのは、ホテルライクをそのまま再現することではなく、その価値を日常の住まいへと翻訳することだった。
I邸において、その考え方を象徴するのがキッチン空間だ。妻が求めたクラシックモダンなホテルの空気感を、直線を強調した端正な造形で表現。キッチンの中では生活感を楽しみながらも、リビングからの景色は美しく保ちたいという想いを受け取り、視線をコントロールするセミオープンの設えとした。
また、LAN配線を納めるため、箱型カウンターを造作。本来は配線を隠すだけに留める選択肢もあったが、白いタイルをあしらい、作業台やリビング収納としての役割を持たせることで、家族の暮らしを受け止める場所へと仕立てた。
素足で心地よいカーペットや、光を柔らかくつなぐ造作のテンパードアなど、その静かな空気感を支える意匠も丁寧に積み重ねられたI邸。
ホテルライクとは、暮らしを切り離すことではなく、美しい景色と心地よい空気感を、日々の暮らしとともに成立させること。本事例は、その価値観を住まいへと翻訳した。
| 費用 | 1710万円(税込) | 物件種別 | マンション |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | ファミリー |
| 築年数 | 35年 | 面積 | 76.16㎡ |
| 施工期間 | 3ヶ月 | 構造 | SRC |