2026.08.13
株式会社リビタ
1987年竣工、61.23㎡、13階南向きの朝日広尾マンション。恵比寿・広尾の利便性を享受する一方、建物は交通量の多い明治通り沿いに立ち、窓を開ければ車や街の音が室内へ入り込む環境だった。
遮音性能を高め、窓を閉めたときの快適性をつくるだけならできる。しかし、それだけでは風や街の気配まで遮断してしまう。都心だから「窓を開けない」を当然とするのではなく、外部の音を受け入れながら心地よく暮らす方法はないか。利便性と喧騒が表裏一体となった、この場所固有の条件から計画は始まった。
都心の住まいでは、静けさを得るために外界を閉じることがある。だが、窓を閉ざすだけで、都市で心地よく暮らすことはできるのか。
明治通り沿いのこの住戸で目指したのは、騒音を消すことではなく、都市の音との関係を整えること。日本庭園の「借景」を聴覚へ応用し、交通音や生活音を住まいの背景として受け止める「音の借景」を構想した。
神山聴景事務所がこの場所のために編んだ16の聴景音を、無指向性スピーカーで空間全体へ展開。残響時間を測定して配置した吸音材、木毛セメント板、二層のファブリック、ルーバー扉や室内窓を組み合わせ、音・風・光・人の気配が穏やかに巡る住空間を設計した。
音を設備として後から足すのではなく、間取り、素材、建具、音響までを一体で調律する。買取再販において、立地に伴う音を「消すべき弱点」として補正するのではなく、その土地の個性として読み替える試み。都市の喧騒を遮断する住宅から、街の気配と心地よく共存する住宅へ。「静けさ」を音の少なさから、音との関係へと問い直す一戸。
| 費用 | 1900万円(税込) | 物件種別 | マンション |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
リノベーション済み物件 | 家族構成 | |
| 築年数 | 39年 | 面積 | 61.23㎡ |
| 施工期間 | 5か月 | 構造 | SRC造 |