2026.08.13
株式会社リビタ
1980年竣工、80.53㎡のサンビューハイツ南青山。住戸は三方向に開口を持ちながら、既存の間取りは個室で仕切られ、それぞれの窓から入る光が室内で分断されていた。
なかでも際立っていたのが、大きな北窓から届く光。南からの直射光とは異なる、穏やかで安定した明るさを持つ一方、一般的には「日当たり」という評価軸では不利になりやすい条件でもある。
この北向きを明るく補正するのではなく、この光だからこそ生まれる居心地を伸ばせないか。物件がすでに持つ条件を欠点として消すのではなく、個性として読み直すことから始まった計画。
住まいの明るさは、南向きか、日差しがどれだけ入るかで語られがちである。だが、この住戸で価値として見出したのは、大きな北向き窓から届く穏やかで安定した光だった。
計画では、落ち着きが求められるLDを北側に配置し、個室で分断されていた光のつながりを再構成。紙漉キハタノの黒谷和紙を壁・天井に用い、障子やバイブレーション仕上げのステンレスとともに、光を受け止め、やわらかく拡散。強い光を足すのではなく、そこにある光の質を整える設計とした。
南青山は、表参道やみゆき通りの「動」と、一歩奥へ入った場所の「静」が隣り合う街。その文脈と北向きの穏やかな光、和紙という普遍的な素材を重ね、都市の中で心を緩める住まいへと翻訳した。
買取再販では、物件の弱点を補い、一般的な評価軸へ近づけるほど商品として説明しやすい。しかし、一戸ごとの条件を平均へ均すだけでは、固有の価値も消えてしまう。条件を補正するのではなく、読み解き、磨き、価値へ変える。物件固有の光から、新しい住まいの評価軸を提示する一戸。
| 費用 | 3000万円(税込) | 物件種別 | マンション |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
リノベーション済み物件 | 家族構成 | |
| 築年数 | 46年 | 面積 | 80.53㎡ |
| 施工期間 | 5か月 | 構造 | RC造 |