2026.08.13
株式会社リビタ
1973年竣工、築50年を超える代々木の杜ハイツ。住戸内にはガラスブロックやプレスガラスの照明など、時代を感じさせる要素が残る一方、和室は暗く閉ざされ、現代の暮らしにそのまま馴染む状態ではなかった。
しかし建物全体を読み解くと、豊かな植栽、外壁タイル、光や風を住戸へ届ける配置など、都市の中で自然と暮らそうとした当時の設計思想が随所に見えてきた。
古いものをすべて消して新品に近づけるか、形だけを保存するか。その二択では、この建物の本当の価値は継げない。そこで私たちは、残された意匠の奥にある「なぜそうつくられたのか」まで遡り、何を残し、何を現代へ翻訳するかを考えることから計画を始めた。
ヴィンテージマンションの価値は、古い意匠を残すことだけではない。その時代の作り手が描いた「未来」を読み直し、次の暮らしへ翻訳することにある。
1973年竣工の代々木の杜ハイツには、都市の中で自然と心豊かに暮らそうとした当時の理想が読み取れる。同じ時代、マルニ木工も職人技と工業化を両立しながら、新しい暮らしの豊かさを探っていた。
私たちはこの二つの思想を重ね、外壁タイルや既存のガラスブロック、照明を生かしながら、マルニ木工「Tradition Project」のモール材をキッチンや天井、縁側へ、椅子の張地を建具へと展開。家具と建築をひと続きに再編集した。
再販リノベーションでは、古さを消し、新しく整えるほど商品として分かりやすい。しかし、それでは建物に蓄積された思想まで失われてしまう。
過去を保存するのでも、刷新して消すのでもなく、読み解き、現代に置き換え、次の住み手へ渡す。古さを消す再販から、時間を編集する再販へ。再販事業者が「繋ぎ手」となることで、既存住宅を未来のヴィンテージへ育てていく。その可能性をこの一戸で示した。
| 費用 | 3400万円(税込) | 物件種別 | マンション |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
リノベーション済み物件 | 家族構成 | |
| 築年数 | 52年 | 面積 | 98.13㎡ |
| 施工期間 | 5か月 | 構造 | SRC造 |