2025.11.06
クジラ株式会社
主人の実家は大阪市住吉区にある三連長屋のうちの一軒で、当時両親が二人で暮らしていた。隣が空き家になり、使い道を決めずに購入したその年の暮れ、主人の転勤が決まり家族で大阪へ引っ越すことに。
この三連長屋は戦後に建てられた木造住宅で、正確な築年数は分からない。そもそも長屋は一軒一軒の間口が狭く、奥行きが長い。柱も多く、抜ける壁もあれば残さなければならない壁もある。光は前後からしか入らないためにとても暗い。
二軒をつなげば延床は約180㎡。三世代6人家族には十分だが、建て替えるとなると今よりかなり小さい家になってしまう。「建て替え」「売却」「賃貸」「リノベーション」「同居」「別居」など様々な選択肢が交錯する中で、最終的には「生まれ育った家を活かすリノベーション」を選ぶことにした。
──親の近くにいたい。でも完全な同居ではない方がいい。
そう考えた主人は、実家と買っておいた隣の長屋を一つに繋いでリノベーションする道を選んだ。
完全分離の二世帯住宅にできる広さはあったが、同じ屋根の下にいる安心感と、家族ひとりひとりの時間を尊重する独立性を両立させる、程よい距離感を作りたかった。
そこで玄関とダイニングキッチン、水回りを二世帯で共有し、上下階をつなぐ大きな吹き抜けを挟む形で、一階リビングに両親、二階リビングでは自分たち家族が過ごす間取りに決めた。
勿論工事は容易ではない。三軒長屋のうち二軒を繋げて壁を抜き、補強などメンテナンスも繰り返しながら、新たに吹き抜けも作る。工事が進むほどに悩みのタネも増える現場は、最後まで施主・施工会社のワンチームで乗り越えた。
完成した住まいは、長屋特有の狭さ暗さが無くなり、玄関に入れば、並んだ靴が目に入ると共に吹き抜けから自然光と子供達の話し声が一緒に落ちてくる。
「長屋で暗かったのが、すごく明るくなった。やってよかった」
共有する部分、独立させた部分、家の中心にある大きな吹き抜けはその2つをゆるく繋いでくれている。
顔は見えなくとも気配を感じる距離感で、代々過ごしてきた家族の時間が繋がり、また新たに重ねられていく。
| 費用 | 5100万円(税込) | 物件種別 | 一戸建 |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | 二世帯・三世帯 |
| 築年数 | 76年 | 面積 | 180.12㎡ |
| 施工期間 | 150日 | 構造 | 木造 |