2025.09.16
株式会社ニューユニークス
港区にある約75㎡のタワーマンションの一室。Oさんはご夫婦とお子様の3人暮らし。30代前半のご主人にとって、これが3度目の住宅購入となり、住まい選びにはたしかな審美眼を持っていた。
ご夫婦ともに家具好きで、とりわけ奥様は海外インテリアを扱うセレクトショップを運営。自然と海外の事例を参考にすることが多く、そこには使い勝手よりもコンセプトを優先した大胆さがあった。お二人もまた、“デザイン性の高さ”を住まいに求め続けてきた。
だからこそ今回の住まいでは、“暮らしやすさ”に縛られることなく、既成のマンション観を覆すようにシームレスという答えに振り切ることができた。
なぜ日本のマンションは垢抜けないのか。──その理由は“暮らしやすさ”に偏りすぎているからだ。
「住宅らしさよりも、美しいと思える空間を優先したい」。施主のOさんに迷いはなかった。その答えとして選ばれたのが、端から端までノイズを削ぎ落とした“シームレス”な空間である。壁と天井は真っ白に塗装し、床は継ぎ目のないモールテックス。均質な白が端から端まで広がり、テンパードアを抜けた自然光が奥へ届く。
光と影のコントラストが白に奥行きを与え、住宅であることを忘れるほどの浮遊感を生んでいる。収納は廊下に集約し、リビングは徹底してミニマルに。その背景には「収納が足りなければトランクルームを借りればいい」という潔い思いがある。利便性を多少削ってでもコンセプトを優先する、その徹底ぶりこそが空間の質を決定づけている。
塗装・木・ガラスといった異素材の交点は寸分違わず揃え、水平・垂直に余計な凹凸を許さない。キッチンの扉の割り付けはタイルのサイズに合わせてラインを揃え、ノイズを極限まで抑えた。継ぎ目や取り合いまで徹底的に整え、その緊張感ある仕上げのすべてに職人の技が光る。
暮らしやすさよりもシームレスを優先したその美学は、空間全体に揺るぎない骨格を与えた。その振り切ったこだわりをデザイナーが受け止め、ともに突き詰めた唯一無二の邸宅。アート至上主義。真のシームレスな住まい、ここにあり。
費用 | 2840万円(税込) | 物件種別 | マンション |
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リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | ファミリー |
築年数 | 19年 | 面積 | 76.67㎡ |
施工期間 | 3ヶ月 |