リノベーション事例

結婚30年という節目を迎えたO様ご夫妻。長い年月を共に過ごしてきたわが家には、数えきれないほどの思い出が刻まれていました。子どもが成長し、それぞれの生活スタイルも変化する中で、気づけば家族全員がそろって食卓を囲む機会は少なくなり、同じ家に暮らしていても過ごす時間は減っていました。それでも「起きている時間はできるだけ一緒に過ごしたい」という思いは、ご夫妻の心の中に強く残っていました。これからの暮らしを考えたとき、かつて家族を育んできた空間を、今のライフスタイルに合わせて更新する必要がある――。住み慣れたわが家を舞台に「これからの30年をどう過ごすか」。その問いかけに応えるかのように、リノベーションへの決意が固まっていったのです。

リノベの軸となるのは『空間のフリーアドレス化』。ご家族全員が集まる食事の機会でさえ限られる日々だからこそ、「起きている時間は一緒に過ごしたい」。そんな思いのもと、共有スペースは広く、個人のスペースはコンパクトに。個室を設けずに、思い思いの場所で、仕事、好きなことができる、空間の共有化を目指します。ロフトの上下は3つの寝室。個室を設けず、就寝するスペースのみが個人のスペースです。

ロフトの向かい側はクローゼット、通路あるところには収納を組み合わせます。収納は天井の高さを活かし、空間を余すところなく配置。共有空間を最大化します。LDKは開放的な空間に。以前は独立型キッチンだったため、壁付けの完全にオープンなキッチンに少し不安があった奥さまですが、「便利です～、作ったらすぐに配膳できちゃいます」とご満悦な様子。

ベランダ側には多目的スペースを設け、必要な時には３枚の透明のパーテーションを引き出し、空間を区切ります。ベランダ側、廊下側の壁面には断熱材、窓には内窓を設置。エアコン1台で空間全体を適温に保てるようになりました。「急に友人を連れて来れるようになりました」と娘さん。「帰宅するのが楽しい」と旦那さま。「室内をくるりと1周回れて、生活導線が良くなりました」と奥さま。みなさん満面の笑みです。空間をシェアするご家族は、日々の暮らしの楽しみも、喜びもシェアされているのでした。

間取り