2025.09.08
株式会社ニューユニークス
かつてご主人の祖父母がこの土地に家を建て、ご主人が子どもの頃に二世帯住宅として建て替えられたというM邸。祖父母とご両親が選んだ「二世帯同居」という暮らし方を、今回Mさんが継承し、リノベーションという手法で新たにアップデートすることになった。
Mさんが実家の二世帯リノベに舵を切ったのは、高値が続く都心のマンションを新たに購入するよりも、子育てや費用面で合理的だと考えたからだという。「同じ費用感で注文住宅を建てたとしても、ここまでの家はつくれないと思います。ベースがある分、内装や家具を自由に選べた。二世帯リノベは、お金の使い方としても満足度が高いと思います」とMさんは振り返る。
建て替えやリノベーションを重ねながら、その土地に住み続ける──。空き家の増加が社会課題となる日本において、リノベーションはその解決の一端を担いうることを実感させる事例でもある。
戦後、日本の暮らしは核家族化の流れのなかで『親と別に暮らすこと』が当たり前となった。しかし近年、都心の住宅価格の高騰や共働き世帯の増加を背景に、『家族の暮らしをどう設計するか』が再び問われている。これは、子育てや仕事との両立を考える子世代にとっても、高齢化が進む親世代の介護への備えにとっても無視できない課題だ。そうした状況のなか、二世帯住宅は改めて注目を集めている。
Mさん一家もまた、住まいの選択を検討する中で二世帯住宅にたどり着いた。舞台となったのはご主人の実家である築30年の戸建て。1階を親世帯、2・3階を子世帯とし、水回りを分けることで生活の自立性を確保した。両世帯を結ぶ階段には腰高の扉を設け、互いのプライバシーを守りながらも、必要なときにはすぐ顔を合わせられる絶妙な距離感を実現している。
リノベーションでは黒を基調としたスタイリッシュなLDKを完成させたMさん。「家は白が基本」という固定観念を取り払い、自分たちらしい価値観を住まいに映し出したMさん一家の姿勢が表れている。
親世帯にとっては将来の安心が、子世帯にとっては日常のサポートが得られる。そして、お孫さんがふと訪れるひとときが二世帯ならではの温かさをもたらす。暮らしの自立性と家族のつながり、その両方を叶えたM邸は、これからの都市住宅における「現実的で等身大の二世帯モデル」として、新しい可能性を示している。
| 費用 | 3040万円(税込) | 物件種別 | 一戸建 |
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 |
持ち家のリノベーション | 家族構成 | 二世帯・三世帯 |
| 築年数 | 32年 | 面積 | 104.90㎡ |
| 施工期間 | 4ヶ月 |