2025.09.05
株式会社アートアンドクラフト
 
                                大阪からほど近い、奈良県生駒市にあるひな壇型のマンションの一室。Tさん家族は約46平米の広さがあるルーフバルコニーと、そこからの眺望が気に入り、この部屋の購入を決めました。室内はそれほど傷みはなかったものの、せっかくの眺望が活かされず、小さく区切られて暗い印象でした。
ラワンや大谷石を使いたい、キッチンタイルの目地はオレンジがいい…など、あらかじめイメージをたくさんお持ちだったTさん。第一優先は室内にルーフバルコニーからの明るさと開放感を取り込むこと。そして、使いたかった素材を室内に散りばめながら、76㎡を伸び伸びとプランニングしました。
幼少期に過ごした住まいを思い出してみてください。縁側に寝転がって感じた風や、ダイニングの温かい電球の光など…きっと何気ない光景が目に浮かぶことと思います。
大谷石の玄関装飾や、タイル仕上げのキッチン収納、ルーフバルコニーと高さを合わせた小上がりなど、Tさんのこだわりが随所に詰め込まれた住まいですが、中でも、特徴的なのは玄関に入ってすぐの小さな開口。パントリー越しにキッチンにつながっています。完成後だけ見ると、何の穴だろうとちょっと不思議に感じられるかもしれません。実はこれ、帰宅するとすぐにキッチンから「おかえり」を言える、通称"おかえりカウンター"。Tさんと設計者の会話の中から生まれたイメージを形にしたものです。
個人の住宅のリノベーションでは「こうじゃないといけない」というルールはありません。設計で何よりも大切なのは、住まうご本人と、設計者との対話。日々の過ごし方や大切にしていることなどを話す中から、思ってもみなかったアイデアが生まれて形になっていきます。何件も設計を経験していても、そのとき、その人のためだけの特別なかたちができたそんな瞬間がやっぱり一番嬉しいものです。
ここからの「行ってきます」や「おかえり」。遊びに来てくれた友達への、「また来てね」。きっと、そんなシーンが、いつか振り返った時、Tさん家族の思い出になるでしょう。
| 費用 | 1300万円(税込) | 物件種別 | マンション | 
|---|---|---|---|
| リノベーション 形態 | 中古を買ってリノベーション | 家族構成 | ファミリー | 
| 築年数 | 39年 | 面積 | 76.61㎡ | 
| 施工期間 | 2ヶ月 |