2024.09.12
株式会社ブルースタジオ
福島県郡山市にある築38年の集合住宅「Fハイツ小原田」は
築年数相応の経年劣化や、阿武隈川氾濫域内への指定等により、家賃の下落と、空室率の増加が課題でした。また周辺は緑化重点地域からも外れており、まちなかの緑や木陰が少ない、行政による景観的な住環境整備が進まない地域でした。
大規模修繕のタイミングに伴い、昨今の建築コスト高騰を踏まえ、占有室各戸の改修に先んじて外観・共用部・外構に着目。入居者の利用範囲の価値向上のみならず、地域の景観的ヴァリューアップを目指し、緑に囲まれた歩行者のための空間を計画しました。
地方都市近郊ではかつて農地転用によるアパートが多く建築され、田園風景は灼熱のアスファルトの駐車場と四角い箱が連続する殺伐とした風景に変わりました。
本計画は敷地の境界線を越えた、地域の包括的な住環境価値の向上に寄与する、アパートオーナーや地主による「まちかどリノベ」と言えます。
今や東北を代表する中核都市郡山。その郊外住宅地小原田。阿武隈川の恵みで栄えたこのまちには豊かな田園と郷の風景が昭和の時代、広がっていました。しかしながら急速な郡山都市圏の拡大に伴い、それらの情景は失われ、小原田には農地を転用した賃貸アパートが次々と建ちならびました。
田んぼは次々とアスファルトの駐車場になり、その片隅には四角いアパートが立ち並んだのです。子供達が学校に通った並木のあぜみちは舗装され電柱が立ち並び今や木陰もありません。
近くにある小原田中学校が開校した65年前、“あぜみち“は子どもたちの通学路であり、原体験を育む場所でもありました。四季折々の草花や生き物と触れ合い、井戸水や田んぼの中で遊び、農道の途中に一休みする為の「休石」が置かれ、友達とおしゃべりをしながら寄り道する学校の帰り道。
この地で代々続く農家の家系に生まれた不動産賃貸業を受け継ぐ建物オーナーにとっても、通学路での記憶は小原田の暮らしに誇りや愛着を感じる大切な思い出です。
これから育つ世代や、新たに移り住んで来た入居者にも、地域に愛着を持ち、魅力を感じて、長く住み続けたくなる場所になって欲しい。
まちの大家として単体の不動産活用ではなく、賃貸住宅の外構、殊に道路境界線上を緑化で、緑豊かな“あぜみち“空間を再現し地域全体の暮らしの価値向上を目指しました。
費用 | 物件種別 | その他 | |
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リノベーション 形態 |
その他 | 家族構成 | |
築年数 | 39年 | 面積 | 999.99㎡ |
施工期間 | 7ヶ月 |
お問い合わせ先
〒104-0045 東京都中央区築地4-5-9 築地安田第2ビル4階
TEL:03-3541-5878