2024.09.10
株式会社ニューユニークス
「もう少し無機質な冷たい感じでもいいなぁと思っていたのですが、それだと妻の纏っている雰囲気には合わない気がして。それで少し白を足したりキッチンを山吹色にしたりして、バランスを取っていきました」。そう話すのは、S邸のご主人。昨年練馬区にある68㎡の物件を購入し、念願のリノベーションを行った。
趣味でアプリを開発したり、音楽を作ったりすることもあるクリエイター肌のSさん。仕事兼趣味部屋でも存分に音楽を楽しむために、リビングや奥様のワークスペースとは切り離した場所に自室を配置した。
お互いがそれぞれの時間を大切にできるようにしっかりとゾーニングされているけれど、扉や壁を極力排除したおかげで、“区切られているのに繋がっている”そんな絶妙な距離感が保たれている。つかず離れずなこの空気感もまたSさんが求めていた雰囲気の一つだ。
担当デザイナーとの初顔合わせの席でSさんは、とあるテクノミュージックを流した。それがアルヴァ・ノトの『Deuterotype』。音飛び、デジタルノイズ、コンピューターのエラー音のような通常音楽では使われないような音を切り込んだノイジーなメロディーだ。デザイナーはそれをたしかに受け取り、咀嚼し、想像する。
「絵や家具に合わせて空間をつくるのと同じで、音楽を家づくりのテーマにすることは自然な選択でした。学生時代から音楽が好きでDJをしていたこともあったので、地続きなかんじで。この感覚をnuさんが理解して面白がってくれたのも良かった。僕の中で住宅は雰囲気が全てというのが根底にあって、そこに欠かせないのが音楽なんです。音楽と建築が融合したこの家はとにかく雰囲気がいい、それに尽きますね」。
躯体現しの天井に床全面に敷かれたグレーのタイル、ざらっとしたテクスチャーのアクセント壁など、あまり住宅っぽくない無機質で温度の低い空間が広がる。Sさんの言葉を借りるなら「そっけなさというか、ノンフレンドリーな空気感」が充満しているのだが、そこがまさに感情やドラマ性が排除された機械的なテクノサウンドの雰囲気に通ずる部分がある。言語化できない魅力を纏ったこの絶妙なアトモスフィアは、アルヴァ・ノトのテクノな旋律と混ざり合い、Sさんを究極の癒しへと誘う。
費用 | 1830万円(税込) | 物件種別 | マンション |
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リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | 二人暮らし |
築年数 | 21年 | 面積 | 68.08㎡ |
施工期間 | 3ヶ月 |