2014.09.06
株式会社リビタ
27年前に建売販売された、都心近郊の住宅地に建つ木造在来工法2階建て地下RC車庫付の家。このころ建てられた一戸建ての多くは、大量生産を目的に工業化・企画化されており、そのほとんどは築20年を超えると建物価値(評価)がゼロになるとも言われています。この家は、ある意味その典型であると感じさせられるものでした。
今回立てたリノベーション方針は、「構造安全性と環境性能が確保された丈夫なハコと、手を入れる余地を残したシンプルで可変性の高い住まい」を実現すること。デザインにあたっては、企画化され個性が隠されたままであった建物の特性を丁寧に紐解いて、今日の住まい手の視点に立ちながら、永く住み継がれるものとして新たな価値を生み出すことにも挑戦しようと考えました。
まずは、内装解体から改修工事完了までのプロセスにおいて、様々な現地イベントを企画。建物の劣化部位などを実際に見ながら行う解体後建物見学会やセミナー、誰でも気軽に参加できるDIYワークショップ体験付竣工見学会など、広く住まいづくりを検討しているエンドユーザー向けの発信を行いました。
改修後の建物は、スキップフロアという既存の構成を活かしながら、階段周りに吹き抜けをとり、浴室・主寝室・地下室をガラス張りとすることで、6層の床のつながりを多くの場所から把握できるようにしました。また、家の中心に設けた浴室は、FRP防水の白い仕上げとすることで、テラスに面した窓から家中に光を拡散しています。部屋の壁には構造用合板を採用し、住みながら自分で好きなところに棚などを付けられるようにすることで、住まいの編集性向上も図っています。
この家を購入したご夫婦は、家を自らの暮らしの場、自らの資産と考えることはもちろん、次世代へ引き継ぐべき社会資産としても捉え、強く共感を得たことが購入の決め手となりました。
引渡し前には、入居者も一緒に無垢フローリングと壁の塗装ワークショップを実施したり、ライフスタイルに合わせた編集を加えることで、これから先も建物を育て、楽しみながらメンテナンスし続ける、意識・知識・能力を引き上げることを試みています。
我々は、今回の事例を含む一連の活動をHOWS Renovation Lab.と名付け、これからも戸建てリノベーションを通じて、日本の住まいのあり方を見直すきっかけとなる活動を行っていきたいと考えています。
費用 | 1800万円(税込) | 物件種別 | 一戸建 |
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リノベーション 形態 |
家族構成 | ||
築年数 | 39年 | 面積 | 133.97㎡ |
施工期間 | 3.5か月 |