リノベーション事例

2023.09.20

越前國一之宮氣比神宮とシャッター商店街に一撃を

  • 信越・北陸
  • 家全体

本計画の敦賀市では来年の北陸新幹線延伸に向け駅前周辺の開発などが進む一方、港へと向かうやたらに広い道路が貫く商店街は、シャッター商店街化しており歩行者もまばら。戦災でリセットされた商店街には、いわゆる防火建築帯ビルなどコンクリート造ビルが立ち並ぶが、活気が失われた空きビルの通りは一定の役割を終えた様相だった。そんな中、商店街や住民達が主体となり、リノベーションまちづくりのワークショップや、エリアの未来ビジョンを描くワークショップ活動などが開催されてきた。この計画は、それらの活動に参加していたオーナーが、地域再興の狼煙をあげるべく地域を象徴する交差点の空きビルを購入しリノベーションに挑むことになったものだ。元住宅の上層階はシェアオフィスやシェア住居として、元商店街洋品店の1階路面店舗は人が集まる飲食店、物販店として計画し、まずは路面店舗のリーシングとリノベーションを先行して始めることに。

ビルと木造隣家は1階内部で繋げられ、一軒の洋品店として昭和の商店街を彩ってきた。改装を重ね迷路のような店内は、時間が止まった様な内装だった。それらの内装を撤去、二つの建物を分離して、それぞれの建築当初の無垢な姿へと戻すことからリノベーションは始まった。スケルトン化するとビル側は荒々しいコンクリート肌理や、複雑に並ぶ柱や梁、場所ごとに高さの異なる天井が露わになるが、強い空間の魅力が感じられた。木造側は丸太梁を組んだ屋根の下に小さな三角形の平面形状。それぞれ要素は単純なのに複雑性の高い空間となったが、それらが持つ経年変化や素材、空間の魅力を受け止めることから設計スタート。レストランでは、オープンキッチンを舞台のように演出しキッチンスタッフが主役として振る舞えるような空間とし、斜向かいの氣比神宮や幅広い歩道へと店が外部へと開放される建具を設置。リユース・アップサイクルをテーマとしたコンセプチュアルな古道具店は、木造空間に二層の木箱をしつらえ、レストアされた家具が配置されていく。さらに古道具やデッドストック雑貨が収納されると、まるで入れ子状に物語が続いていくようなお店となった。上層階のオフィスや住居は既に入居者が決定し、シェアスペースの内装工事が実施されている最中。二軒のお店のオープンでは、諦めかけていた商店街に光が灯ったと感じられた瞬間が訪れた。

費用 3000万円(税込) 物件種別 その他
リノベーション
形態
中古を買ってリノベーション 家族構成
築年数 57年 面積 194.71㎡
施工期間 7ヶ月

間取り

BEFORE 1店舗

AFTER 2店舗

お問い合わせ先

株式会社ENN

〒920-0995 石川県金沢市新竪町3-61 RENNbldg.

TEL:076-263-1363

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