2023.09.18
住工房株式会社
自由設計で1962年に新築した戸建て住宅。60年の間に2回の増築が施された6DK+インナーガレージで、不安定な継ぎ足し部分を減築する必要がありました。空き家となっていた期間もあり、耐震性の強化が施主様のオーダーでした。断熱性もアップすること、躯体はできる限り生かすこと、建築基準をクリアすることを見据えて、大規模なリノベーション計画を立てました。施主様が所有する車が入り切らないサイズのインナーガレージの存在は、リノベーションの要に。床が一段低く、天井高が十分でない空間を、開放的に利用できる方法を検討しました。プランニングの軸に据えたのは、「父が育った家であり、祖父母と過ごした思い出のある家の風情や趣きを生かしたい」という施主様の思いです。思い出話をお聞きしながら、「変えるところ」だけでなく、「変えないところ」を大事にして、情緒面と機能面の融合を目指しました。
いま、若い世代が、個性の一表現としてリノベーションを選んでいます。古い建物ならではの情緒や重ねた歳月に、画一的な新築住宅にはないオリジナリティを感じるのでしょう。当物件は、30代の施主様が祖父母から譲り受けた築60年の家です。まずは、当社の一級建築士の指揮下で耐震補強を施し、断熱性も強化。これからの安心・快適はもちろん、次世代が継承できるような住性能を確保しました。インテリアには、「祖父母と過ごした懐かしい日々」を感じられるように、昭和の古き良きディテールをできる限り再利用しました。玄関の釉薬タイルやガラスの欄間、土間の石畳はそのままに、懐かしい木製の格子戸を採用。一方では新しく、アウトドアがご趣味の施主様がキャンプ用品などを収納できるスペース兼プライベート用玄関も設けました。元インナーガレージのスペースは、スキップフロアでダイニングキッチンとつながるリビングに。キッチンは、「台所に立つお祖母様の後ろ姿」の面影を感じられる壁付式です。要所要所にタイルを採用し、床には栗材を使用。時が経つほどに味わいが増す素材を選びました。住まいの佇まいも大切にしています。格子窓は、この家のシンボルとして化粧直し。直射日光避けも兼ねて再配置した庭のイロハモミジに、「このモミジが残ってよかった」と、近所の方が声をかけてくださいました。ありし日の面影を「住み継ぐ家」が完成しました。
費用 | 3000万円(税込) | 物件種別 | 一戸建 |
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リノベーション 形態 |
持ち家のリノベーション | 家族構成 | 一人暮らし |
築年数 | 63年 | 面積 | 115.13㎡ |
施工期間 | 約6ヶ月 |