リノベーション事例

打合せで手配する建材のサンプルや、リノベーション現場で出る端材。できるだけ無駄がないように心がけても、多様なリノベーションを請負する以上、どうしても出てしまうこれら。捨ててしまうのは忍びないけれど、かと言って集めていても種類が多くバラバラなので建材として活用するのは難しい。なにか楽しく使えないかと長らく考えていました。
ちょうどそんな時に出会ったのが、株式会社人間が制作している間取り図で混ぜるマドラー、その名も「間取ラー」。間取りを眺めながら生活を想像してワクワクしたり、過去の思い出にも浸れるようにと開発された商品で、その発想のユニークさから、金沢21世紀美術館でも販売されています。すぐ向かいに会社があることもあり、リノベーションの「間取ラー」を作って欲しいとアプローチしたことから、間取ラー作りが始まりました。

間取ラーの題材にしたのは「ひとり住まいこそ、誰にも気兼ねなく自由に暮らせる！」という思いで作り続けている「オトナのひとり住まいシリーズ」のモデル事例。間仕切りのないベッドスペース、いわゆる“一人暮らし用”でない住宅設備、明るい日差しが入るリビングに設置された洗面台や、小さな書斎のようなDEN、家事室にもなるMadroom…間取りの中にひとり住まいを豊かにする、型にはまらないアイデアが散りばめられています。
自由な一方で時にひとりで悩んでしまう、ひとり住まいのリノベーション。いつか実現したい人にはそのお供に。ひとりではないけれど、たまにはひとりの時間に思いを馳せたい人にも。間取ラーを手元に置いて楽しんでほしいと考えました。
そして、間取り集と端材をおまけとしてセットに。サンプルのかけらや端材、現場で拾った謎のネジなど・・中には袋に入りきらない大きなフローリングが付けられたものまで。リノベーションと同じように一つとして同じものはありません。事務所での販売の他、イベントでのプレゼントに使用。気に入ったものをセレクトして持ち帰った人は、そのまま飾ったり、小物を置いたり、リメイクをして別の使い方をしたり…自由に楽しんでいるようです。
捨てられる運命に会った端材たちが、人々の手元に届き、少しだけ暮らしの彩りになり、リノベーションって面白そうだな、と思ってもらえたら嬉しく思います。

間取り