リノベーション事例

2023.09.15

余白を引き継ぐ

  • 首都圏
  • 中古を買ってリノベーション
  • 家全体

株式会社ジェイアール東日本都市開発

築57年の旧JR東日本東中野寮です。既存建物は、個室棟が神田川の気持ち良い環境に面している一方、エントランスは住宅街の裏路地に面しており、前庭も中庭も植物が育ちすぎて薄暗く、敷地全体が陰鬱な周辺環境の一部になってしまっていました。
今回シェアハウスとして再生するにあたり、敷地の裏っぽさをプラスに捉え、周辺の静かさと神田川への視線の抜けを生かしながら、全体として若い人たちが住むにふさわしい、晴れやかで、リラックスできる空気を漂わせることを目標としました。

街に対して閉じていた独身寮を、リノベーションによって、街に余白を提供するシェアハウスに再生しました。
既存建物の一番の特徴であるロの字形の構成を生かすため、中庭を貫通する廊下やエントランスといった屋内空間62㎡を、大胆にも屋根を残して解体しました。これによって大きくなった中庭は、日常では外のリビングとして気楽に活用することができ、その様子が柔らかく道路に漏れ出す一方、イベント時などには大きな門扉を開いて、地域に開くこともできるスペースとして生まれ変わりました。室内は共用部を濃い茶系の色味と木でまとめ、素材が豊で手触りがある、落ち着いた空間としました。情報量の多い都会の喧騒から一気に離れることのできる、精神的にも空間的にも余白を生み出す住まいです。結果的に半年足らずで入居はほぼ満室の状況で、竣工間近に庭の検査をしていたら、散歩中のおばあさまから「気持ち良い場所になったからお散歩コースに入れるわ!」という嬉しい声をいただいたり、子供連れの方が前庭空間に入って草花をめでておられたり、と入居者の方にも、地域の方にも好評をいただいています。今回の計画は、建蔽率・容積率ともに、それぞれ許容値の半分程度・2/3程度の余裕のある配置をそのまま残すことで、豊な住環境が成立しています。再開発が容積を上げ続けることしかできないのに対して、この計画では全く別の価値を提示できたのではないかと考えています。

費用 53000万円(税込) 物件種別 その他
リノベーション
形態
中古を買ってリノベーション 家族構成 その他
築年数 58年 面積 999.99㎡
施工期間 12か月

備考

OGP画像 after写真1.2.3.4(左下、右上)5.6.7枚目の写真 版権 © Masao Nishikawa

間取り

BEFORE 平面図

AFTER 平面図

お問い合わせ先

株式会社ジェイアール東日本都市開発

〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-2-2 JR東日本本社ビル13F

TEL:080-9161-4551

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