2022.09.15
株式会社コスモスイニシア
環境性能やエネルギー問題に応えたサスティナブルなリノベーションが増えてきているが、それとは違ったあり方もあるはずである。もちろんこのマンションは旧耐震でもともと断熱がなく、新たに断熱施工し性能を担保している。しかし、性能だけではなくもっと生活に寄り添う、共感が生まれるリノベーションを提供しようと、このプロジェクトはスタートしている。別物件でも施工が始まっており、この物件を皮切りに小さな連鎖はもう始まっている。
食べたり飲んだりするためにつくられたものが、本来の目的を全うせずにそのまま捨てられてしまう問題は「フードロス」として様々な所で聞くようになった。このフードロスとリノベーションは一見交わらないように思える。しかし、この問題に応えた商品を選ぶ人が増えてきた中で、その人たちに届く住宅がつくれないかと考えていた。
そんな中、焙煎後のコーヒー豆にロスが生じていることを知った。コーヒー豆は一回焙煎してしまうと酸化が進み、時間が経つと味が落ちてしまい廃棄されてしまう。そこで、そのロスを染料にして建具や照明をつくろうと考えた。コーヒー染めの張地は食べ物を染料にプロダクトやアートを製作しているプロジェクトユニットのHyleと、豆の量、添加する色止めの種類、生地、それによる色合いや質感、透過性などスタディを繰り返し製作している。
このリノベーションのように、普段私たちが口にするものを空間の一部にすることで、大きな問題を身近な問題として考えられたらとても良いことだと思う。一室の住空間の更新では大きな問題は解決できないかもしれない。しかし、ロスの問題が空間の豊かさ(more)に繋がり連鎖していけば、リノベーションはさらに社会的な活動になっていくと思う。
費用 | 1400万円(税込) | 物件種別 | マンション |
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リノベーション 形態 |
リノベーション済み物件 | 家族構成 | ファミリー |
築年数 | 48年 | 面積 | 82.57㎡ |
施工期間 | 3カ月 |