リノベーション事例

2021.09.16

北総の小江戸佐原。まちの心の寄合場【丸惣】

  • 首都圏

株式会社ブルースタジオ

佐原の重要伝統的建造物群保存地区の修景への公共投資は成果を上げ、インバウンドが活発化し観光地として賑わう反面、背後にある中心市街地や生活商店街には空き家や空き店舗が増加している。また、周縁部には新しい世代の子育て核家族が生活しているが、接点は希薄である。こうした観光地して賑わいを見せている裏の地元の状況を変えていく必要があった。
かつて佐原には「惣」という百姓の共同体があり、自分達の暮らしは自分達で豊かにしていく取り組みがあった。街としても住人の間にも隙間が多くなってしまった佐原に、我々には街の人が寄り合う現代に即した新しい形での「惣」をつくりたい思いがあった。佐原といえば伝統的な古い街並みや小野川岸があるが、商店街で生業をする古くからの住人の日常・暮らしこそ大切にすべき存在だと考えた。本プロジェクトは生活商店街に立つ旧洋品店を対象とし、地域交流の要をつくる計画である。

千葉県香取市佐原は関東で初めて重要伝統的建造物群保存地区に選定され、小野川沿岸や香取街道は歴史的景観を有している。一方、その背後にある生活商店街は空き家や空き店舗が増えギャップが深まりつつある。
佐原の大祭は関東三大祭りの一つとされ、代々祭りを支えてきた地元の結束力は高い。大祭の舞台である商店街の中ほどに位置し、山車庫のある薬師堂境内入り口を対象地として、地元の旧家を中心とした若手グループがまちづくり会社を設立。かつて日常的に住民が集まっていた地域の寄合の機能を再生させた。
兼ねてから佐原は穀倉地帯を背景として江戸へ食糧を供給し、味噌・醤油・酒造等の発酵・醸造の食文化が発展した地域。今日でも海産物・農産物の生産地の中央に位置し、関東における日常の食を支えている。
出来たものは『食の環』。豊富な食材と食文化を活かした惣菜を販売し、訪れた地元住民同士は談笑ついでに夕飯の一品を買って行く。コロナ禍で自宅での食事が増え、食への関心が向上したこともあり、併設したシェアキッチンでは幅広い年齢層での食育の場として利用がある。昨今は地域の活動の場としても選ばれ、店先での野菜販売会や階段での市場を開催している。
屋号は『丸惣』。ロゴは大祭の「のの字まわし」の力強い軌跡をあらわし、街の人たちが団結していくよう思いを込めた。将来は上階にも場を広げ、新たに仕事や宿泊の拠点ともしていく展望がある。

費用 物件種別 その他
リノベーション
形態
その他 家族構成
築年数 54年 面積 146.33㎡
施工期間 非公開

備考

佐原家守舎との協働。1階竣工後、2階計画進行中。

間取り

BEFORE  

AFTER 地域の寄合

お問い合わせ先

株式会社ブルースタジオ

〒104-0045 東京都中央区築地4-5-9 築地安田第2ビル4階

TEL:03-3541-5878

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