2020.09.23
リノベる株式会社
近年の都心部大規模オフィスビルの開発により中小ビルの競争力が弱まっており、当ビルもその一つであった。中小ビルの多くが築古になっていくことでより深刻化し、また新築中小ビルの開発や構造も閉じたものが多く地域との繋がりは希薄な建物が目立つ。使う人たちが末端にいる20世紀型のトップダウン的な再開発ではなく、地域の固有性を活かすコミュニティの自発的活動で使う人たちが中心になるような不動産の活用方法を目指すことから始まった。あるものを活かして複合的な意味を持たせ、使い方の小さな変化をたくさん積み上げることが今あるべき開発手段で、それらが共鳴し繋がることで人が集まり人の流れをつくる次の時代の働き方やまちづくりになるのではないかと考えた。
大阪市西区にある築48年のオフィスビルを複合型シェアスペースに一棟リノベーション。都会のオアシスとしてまちの大きな役割を果たしている靭公園に近接。オフィス街に佇む本建物と緑豊かな公園とを分断させず、境界線をなくす"Borderless Field"を本プロジェクトのコンセプトとした。この場所の大きな固有性である緑を建物内外に施し、1階にはまちとの接点として敷居を下げる目的で気軽に立ち寄ることができるブレッド&コーヒースタンドを配置した。屋上庭園や屋内緑化・リビング・ダイニング・テラスといった用途を限らないオープンスペースが延床面積の半分以上を占め、多様化する働き方や暮らし方の変化に対応でき、新しい発見ができる場となることを目指した。また、本建物だけで完結するのではなく他拠点(他のシェアオフィス等)との共同イベントで有機的なコミュニティネットワークを広範囲に派生させ、そのネットワークを通じての協業(新しいニーズに応じた商品開発等)を構想している。デザイン計画では、建物全体に空気が行き届くよう全面全階に構造をトレースしただけの折り上げ天井を連続させ、外観はかつてたくさんの堀があった地域の歴史(石垣)に重ね、地域に馴染むようあえて改修を行わなかった。元々あったものを肯定し"残す"というリノベーションだからこそ実現出来た本建物を起点に新しいまちづくりの形を考える。
費用 | 物件種別 | その他 | |
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リノベーション 形態 |
その他 | 家族構成 | |
築年数 | 53年 | 面積 | 687.13㎡ |
施工期間 | 4か月 |