リノベーション事例

築17年で分譲時から改修されていないようでしたが、仕上げの状態はとても良く、リビング天井高は2700mm。螺旋階段と吹抜を中心に明るい空間をもつ、非常にポテンシャルの高い物件でした。改修前の間取りは1LDKで、可動間仕切りと垂壁が設置されていました。既存で残すべき部分（壁、天井の綺麗な部分)と取り払うべき部分（間仕切り)を読みとりながら、最大限に空間を広く豊かに感じられるリノベーションを目指しました。

コンセプトはwonder the one roomで、3つのwonderを空間に散りばめました。一つ目はコーナーを横断する土間です。玄関からトップライト下を通りベッド手前まで、ワンルームの中央には土間が貫入します。各コーナーとは関係ない位置に土間範囲を決め、それぞれが分かれながら繋がっている、不思議な距離感を生むと考えました。二つ目は、寝室のプライベート感と空間の奥行感・つながり感を生み出すS字フルハイトカーテンです。S字カーテンの裏側には寝室・クローゼットがあり、寝室との間にL型のカーテンをもう1枚配置しています。２枚のカーテンを閉じることで視線を遮られます。自分達の気分やトップライトからの光に合わせて、空間の透け感を選択できるように計画しました。三つ目は、本棚であり、倉庫であり、テレビボードであり、化粧台であり、照明であり、ワークスペースである、暮らしを凝縮したオープンシェルフです。夫婦の暮らしの拠り所となる相棒のような存在です。三つのwonderが複層的に混ざりあうことで、小さなワンルームに豊かな広がりが生まれます。夫婦は互いに気配を感じながら、居心地のいい場所を見つけて過ごします。また、在宅勤務で息が詰まった時は螺旋をかけ上がり、屋上に広がるもう一つのワンルームでリフレッシュもできます。内と外のワンルームを使い分けることで、小さな60㎡に大きな広がりを作り出しました。

間取り