2019.09.13
株式会社リビタ
都心の高級ヴィンテージマンションの代表格ともいえる「広尾ガーデンヒルズ」。ここは一等地にありながら敷地内にゆたかな樹々を携え、四季の移ろいを感じることができる。この住戸も多分にもれず、部屋の窓からみえるゆたかな樹々が一番の魅力であった。しかし、マンション管理規約による制約で水回りが大きく移動できず、部屋が分断されてしまうことから面積の広さがまったく感じられない間取りとなっていた。ガラスのスライディングドアは視覚的な空間の広さや開放感を演出する手法としても大きな役割を果たしている。間取りや仕様など大きな規約違反もあった為、充分に打合せを行った上で、是正の対応も行っている。
一住戸の再販リノベーションとして[華美な内装材で彩る]のではなく、緑ゆたかな眺望という不易な価値を[増幅して室内を彩る]という手法を用いた住まいである。木々が映るリビングの大きな窓面以外の三方に、斜めにガラスを嵌め込まれた2200㎜角/厚さ200㎜の大型スライディングドアを設置。このドアは[空間そのものを動かす装置]という感覚のものである。玄関/収納/棚/パントリー/寝室と各部屋をゆるやかに仕切る建具としての役割だけでなく、時の移り変わりに木々を映し込み、部屋の隅々まで自然光を届ける。また置かれた位置により、正対する世界からわずかにずれた淡い胸像が反射しあい、外の風景や棚に納まるモノたちを断片化しながら混在させ、トーンを抑えた内装にやわらかい彩りを与える。光を僅かに反射するビニルクロス、空間を曖昧に魅せるバイブレーション仕上げのステンレス巾木やミラーといったマテリアルたちも、さらにこの空間の彩りを増幅している。住まい手がスライディングドアという装置を用い、自らつくる[間の移ろい]と、自然光と四季の景色がつくる[時間の移ろい]。ふたつの[うつろい]が呼応しあう空間となった。
費用 | 2200万円(税込) | 物件種別 | マンション |
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リノベーション 形態 |
リノベーション済み物件 | 家族構成 | 二人暮らし |
築年数 | 41年 | 面積 | 90.10㎡ |
施工期間 | 3ヶ月半 |