リノベーション事例

2019.08.30

既存のボリュームを維持しながら専有面積を増やし、新築以上の性能に

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本郷の住宅密集地に建つ、築50年の4階建て、計11戸のマンション。25㎡程の1K型住戸でしたが、間取りはニーズに合わず、設備も老朽化し、ほとんどが空室の状態でした。建て替えも検討されていましたが、この建物が建てられた後に建築基準法が改訂され厳しくなったため、「高度地区」「日影規制」が既存不適格となってしましました。新築する場合は新しい基準に合わせなくてはならないため、これまでのボリュームを建てることができません。南側の豊かな空地や眺望、無用に広い共用廊下や使われていない屋上などのメリット・デメリットを読み込むことで、耐震補強や現代にマッチしたセキュリティと環境性能など新築以上の価値を得られることから、再生案が選ばれました。

耐震補強は廊下側の耐震壁およびバルコニーの袖壁補強としました。さらに、コンクリートのバルコニー手摺を解体することで建物重量を減少させています。特にファサードを印象付ける溶融亜鉛メッキ鋼板の手摺はルーバーとしての機能も果たし、アングルやフラットバーの向き、組み合わせを各階ごとにコントロールすることで、外からの視線を巧みに遮断しながら、上層階に行くほど透過性を高め景観を臨める変化をつけています。
住戸のプランについてもリノベーションにとどまらない大規模な見直しを行いました。
賃料の低い1階は、アプローチを変更し共用廊下を専有化することで各戸の専有面積を広げ、南側の空地に広い専用庭を設けました。エレベーターが無いため、アクセスの悪い4階住戸には使われていなかった屋上を専用テラスとしています。1.5住戸分を1区画とすることで一部1LDKの住戸も設け、多様なニーズに対応しています。
また、屋外だった建物北側の共用廊下も屋内化しています。現在では屋外廊下は床面積に含めないことが多いため一見増築のように思えますが、過去の資料から共用部も床面積に含めて申請されていることが分かり、増築することなく共用廊下を専有化、屋内化することができたのです。さらに環境設計も行って、国の定める省エネ基準以上の性能を実現しています。1割にしか満たなかった入居率は竣工後、すぐに満室稼働となりました。

費用 物件種別 マンション
リノベーション
形態
リノベーション賃貸 家族構成
築年数 55年 面積 394.56㎡
施工期間 6カ月

備考

「ReBreath Hongo 2018」は、「建築の不可能を可能に」をテーマに再生建築の可能性を追求する、株式会社再生建築研究所の設計です。 撮影:Kenta Hasegawa

間取り

BEFORE 既存1階平面図

AFTER 新規1階平面図

お問い合わせ先

株式会社辰

〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-8-10 JS渋谷ビル5F

TEL:03-3486-1570

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