2019.08.30
株式会社ニューユニークス
世田谷の閑静な住宅街に佇むヴィンテージマンション。
ここは坂倉準三建築研究所が手掛けた「ビラ・ノーバ」である。
竣工から40年以上の年月を経ても色褪せることなく、
今もなお輝きを放ち続けるヴィンテージマンション。
そのため、“なるべく、この建物のポテンシャルを残す”ことを大前提に置きつつ、
施主らしい空間を作るというのが今回のテーマとなった。
施主のOさんは赴任先のニューヨークから帰国後、
将来的に賃貸に出す可能性も視野に入れ物件を探した。
借り手が付きやすいよう駅近物件を探していたが、
内見の際にこのマンションに一目惚れ。
「駅から数十分歩くとか、部屋が北向きだとか、
そういうことが払拭されるくらい建物自体のデザインが気に入ってしまったんです」とOさん。
物件の特徴である吹抜け部分の木板張り天井。中庭が望める住戸の形成というこの2つにフォーカスし、リノベーションを進めていった。そうして出来上がったこの家は、アッシュ色をベースに纏め上げられている。 Oさんがイメージしたメンズライクでもガーリーでもない中性的な空間を表現するには、ニュアンスカラーであるアッシュ色がぴったりであった。そして何より、天井の存在を引き立たせる馴染みの良い色であるために空間全体が調和しているのだ。そして料理好きのOさんが一番こだわったキッチン。 デザイナーは、キッチンに立つことが多いOさんがいつでも中庭の緑を感じられるよう元々は窓に面していなかったキッチンを、窓の正面にシンクがくるように移設。 元の壁付けキッチンから、作業スペースの広いセパレート型キッチンへとリノベーションした。
ヴィンテージマンションの持つ高いポテンシャル、そしてデザイナーによって吹き込まれた新たな価値が入り交じり、さらなる輝きを放つO邸。「完成したこの家に足を踏み入れた時の高揚感は忘れられません。マンション全体の落ち着いた雰囲気が室内でも感じられて、毎日をゆっくりと過ごすことができています」とOさんは穏やかな口調で話す。リノベーションは、ゼロから空間を作り上げることができる点も魅力だが、あえて新旧を共存させることで、より豊かな暮らしを描くことができるのだとこの物語が教えてくれた。
費用 | 1220万円(税込) | 物件種別 | マンション |
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リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | 一人暮らし |
築年数 | 46年 | 面積 | 74.95㎡ |
施工期間 | 2ヶ月 |