2018.11.10
株式会社建築工房零
家族がこの地と出会ったのは、ちょうど4年前。それまでは、アポートに暮らしていた。
零が開催した田植えイベントをきっかけに、経験のない4家族で、無農薬、天日干しの米づくりを始める。
当時、1才半だった長男は、作業をする母の背中、畦の上で育った。もともと自然が好きで、こうした環境で子どもに育ってほしいと思っていた。その頃から、憧れに過ぎなかった里山の暮らしを、現実のものとして感じ始める。それから時を重ね、長男の小学校入学を間近に控えた頃、この土地とそこに建つ小さな農家住宅と出会う。空き家寸前の古屋と耕作放棄寸前の田んぼで暮らしが始まった。
≪憧憬の向こうへ≫
初冬の朝、泉区郊外に里山の暮らしを訪ねた。姥懐(おばふところ)の名の通り、東西を山の裾野に抱かれた、どこか郷愁を覚える場所だ。このところの冷え込みのせいで、辺りの田畑には霜が降り、日の出の時を今か今かと心待ちにしているようだ。
ここは、建築工房零専務自邸。家族4人と、犬の”おこめ”、ヤギの”だいず”が暮らしている。
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≪この暮らしが未来に繫ぐもの≫
ここでの暮らしをどう思っているかを家族に尋ねてみた。奥さんのYさんは「この奥まったところに引っ越して来て、かえって世界が広がった」とした上で、「本当はもっと森の中に住みたかったんだけどね」と笑いながら話す。子ども達はそろって「まあまあ」だそうだ。この自然と地域の人々の中で、伸びたいように伸び伸びと育っていって欲しい。
訪れる前まで特別なものだと思っていた里山での暮らしぶりが、本来あるべき人の暮らしなのかもしれない。そんな想いをぼんやりと感じながら、光に満ちた細いでこぼこ道をあとにした。
費用 | 1800万円(税込) | 物件種別 | 一戸建 |
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リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | ファミリー |
築年数 | 74年 | 面積 | 155.68㎡ |
施工期間 | 1ヶ月半 |
BEFORE かつての先人は、裏山に自生している木材を利用してこの家を建てたのだそう。いわゆる「自分で建てた家」。構造こそめちゃくちゃだったが、どこか温かみのあるお住まい。時代を超えて住み繋ぐ役割を担った築70年の住まいはまた次の世代へその役目を果たす。
AFTER 築70年の歴史の中で何度となく増改築を繰り返してきたであろう建物は、その次代を遡るかのように床や天井が剥がされ、原型を取り戻していく。古いものに蓋をしてキレイに暮らすのは性に合わない。なるべくその時代を尊重した上で、家族が健康的に生活するのに必要な分だけ手に入れたかった。その結果、床の張替え、屋根断熱、北側の土壁の解体と断熱工事を行い、今の姿へと辿り着いた。