2017.09.26
株式会社スタイル工房
ある様式を選択するとそこで使用する素材も自動的に決まるような考え方(ブルックリンスタイル=アイアン+煉瓦+サブウェイタイル…)だけは避けたいと思った。既成のテーマから演繹的に素材を選んでいけば、結果的に出来上がるのはインテリア雑誌にあるような流行のイメージの借り物にしかならないだろう、と。既成のテーマを選んでしまうとそれに生活を合わせることになってしまう。あてがわれたカタログのようなテーマから発送するのではなく、まずは建築の歴史を振り返って自分が好きなものを点検してみたとき、「伝統的なものと近代的なもの」「手仕事的なものと工業的なもの」が好きだと見えてきた。ただ、一見矛盾するこれらを組み合わせたときの全体が想像もつかない・・・
そう語ったのは建築に深い造詣を持つ施主。
この施主の話を聞いたプランナーは建築家としての挑戦を受けたように感じたという。
金華砂利と貝殻を埋めた玄関土間の洗い出し、キッチンの青・茶・白の施釉タイル、経年にともない、色が青から白、茶へと変化する大谷石の腰壁、自然界に現れる数列であるフィボナッチ数をデザインした造作扉などはモダニズム建築の中にあるプレモダンな要素の追求を手がかりに選択。それに対して、剥き出しのスラブ、構造用の材料であるOSB、ペールブルーに塗装した無機的なフラッシュドアは、しかし実際に生きているのがプレモダンな世界ではなく、RC構造の工業的なインフラの上であり、大量生産の工業製品に囲まれているという事実も忘れないための意匠として選んだ。
とはいうものの、OSBのエッジの美しい仕上げや貼り方の異なるフローリングの境界に隙間無くフラットに見切りを通した納まりは、工業製品でありながら職人技の手仕事によって実現しており、全てが「民芸とモダニズム」ときれいに二分されているわけではなく、「工業的に見えて手仕事的なもの」の存在も同居している。
施主の強い思いを汲み、一つひとつデザインを作っていったリノベーション。全てをスケルトンにして一から構築するのではなく、使用できる既存設備や間取りをそのまま使うことでコスト面もデザインし、そのこだわりを全面に反映しながら、ご予算内でのリノベーションを実現できた。
費用 | 610万円(税込) | 物件種別 | マンション |
---|---|---|---|
リノベーション 形態 |
中古を買ってリノベーション | 家族構成 | 二人暮らし |
築年数 | 25年 | 面積 | 75.40㎡ |
施工期間 | 2.5ヶ月 |
お問い合わせ先
〒166-0016 東京都杉並区成田西3-2-4 K&3ビル1F
TEL:0120-587-250