リノベーション事例

東京都の多摩地域に位置する東久留米。西武池袋線で池袋駅から約20分という立地に加えて、水辺や緑を市内のいたるところで感じることができる。1990年に竣工した集合住宅「ル・シュバル」には、ファミリーや高齢者世帯など幅広い世代が暮らしていた。オーナー・神藤さんは、このエリアの名士として知られ、駅の誘致や駅前開発にも尽力し、運送業や倉庫業など幅広い事業を手がけていた。17年前に先代が亡くなってから事業は縮小し、現在は先代の妻と娘2人で駐車場の管理などを行っているが、本物件は数年前から全12戸のうち4戸の空きが続いており、どうしたらよいのかずっと悩んでいた。

1990年に竣工した集合住宅「ル・シュバル」。オーナー・神藤さんは、駅の誘致や駅前開発にも尽力し、幅広い事業を手がけるこのエリアの名士として知られる。本物件は数年前から全12戸のうち4戸の空きが続いており、どうしたらよいのかずっと悩んでいた。
当初オーナーは空いている4室をリノベーションするだけのつもりだったが、所有している隣の駐車場をコモンガーデン（私設公園）として街にひらくことをブルースタジオから提案。オーナーも最初は驚いたものの、パースを見てこんな住まいで暮らしたいと思ったという。

コモンガーデンが出来上がる過程には、オーナー家族と地域住民が携わった。みんなで作った小屋にはライブラリーの仕組みを取り入れ、街の人々から書籍を募り、本をきっかけとした交流の場とした。室内空間は南側の視界の抜けや日当りを気持ちよく感じ、公園を楽しめるプランにリノベーションを行った。

　今回の改修は、建物以上にエリアの価値向上を意識している。あえて境界をぼかし地域に開くことで、地域住民と入居者のコミュニケーションが自然と生まれる場を作り、子育て世帯をはじめ、コミュニケーションを求めている人を呼び込みたいと考えた。暮らしの価値を高めることは、エリアの価値を高め、ひいてはオーナーにとっても長期的な利益を生じさせるのだ。

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