2013.09.09
株式会社ブルースタジオ
本計画は、築40年弱の軽量鉄骨造の量産型アパートを改修したものである。本敷地はその昔、母屋の傍らにある松林であり、今回の改修においても木々の多くは当時の苗木が数十年かけて育ったものを継承することによって、その頃から変わらない空気感や風の抜け、採光など、良環境を保存・再現する事、また、量産型アパートの工業製品らしさと掛け合わせることにより、ハードウェア・ソフトウェアともにこれから10年、20年先においても収益不動産として、また街を構成するひとつの建築物としても生きながらえていくことを目論見としている。
原建物は1970年代に発売されたセキスイハウスBFA型(アパート)である。本建物が新築されたのが1975年であるため、初期モデルであると思われる。日本の賃貸アパートの平均寿命が20年前後と言われる中、すでに2倍近い年数も生き延びてきたことになる。それを更に延命させようという試みになぜあえて挑む必要があるのか?そしてなぜ可能であったのか?
ストック型社会への移行に関しては、住宅投資に対する国富向上、環境・エネルギー問題の改善、多様化・高度化する居住ニーズへの対応等、その重要性が明らかとなって久しい。住生活基本法に沿った様々な施策が推進されているものの、その大半が中古住宅のネガティブ印象を払拭することに費やされている。本計画においても、建物の長寿命化のために設備・電気系統の更新、外壁・屋根面の断熱性向上、耐震補強等の性能向上は当然実施している。しかしながら、建物を耐久消費財の地位から引き上げる為には「使われ方」に魅力がない限り物理的な性能向上は意味をなさない。
本計画が賃貸住宅(=商品)として生き続ける事ができるのは、今まさにこの建物が「旬」を迎えているからだ。70年代の合理主義的価値観がにじみ出る当時のデザインは、当時においては未来的なインプレションを目指したのであろうが、40年経った今では木賃や古ビルとは違った風化の魅力が開花している。ロングライフデザインの人気や世界的に広がるレトロ・リプロダクションの盛況を見れば60s70sのデザインがジェネレーションYの日常において確固たる地位を占めているのは明らかである。
この様な背景のなか、私たちは「いよいよ住み頃」であるという思いにしたがい、本建物のポテンシャルを最大限に引き出す事に努めた。
費用 | 物件種別 | その他 | |
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リノベーション 形態 |
家族構成 | ||
築年数 | 49年 | 面積 | 168.00㎡ |
施工期間 | 3ヶ月 |
お問い合わせ先
〒104-0045 東京都中央区築地4-5-9 築地安田第2ビル4階
TEL:03-3541-5878