リノベーションEXPO JAPAN 2011 全国学生生リノベーション・アイデアコンペティション 最終選考結果および講評

最終選考結果および講評

リノベーション学生アイデアコンペ 入選作の講評

今回第1回となる本コンペの課題は「住まいの主人であるヒーローの選定」と「実在する物件」を「リノベーションという手法」を経てストック型社会への提言を行う、という3つの軸を解く必要があった。よって、一見親しみやすいようでいて、いざ取りかかってみると、とらえどころのない難しさを感じた応募者も多かったと思う。
一方、本コンペは9月より11月にかかえて全国規模で行われたリノベーションEXPO一環として、業界関係者のみならず、広く一般の市民にも解放される展示イベントとして巡回を行った。建築や不動産の世界とは無縁である一般市民の方々にとっては「ヒーロー」「実在する場所・建物」「中古の改修」というキーワードの親しみやすさから住宅市場について楽しみながら考えていただける貴重な機会となった。

7月中旬公募、締め切りが9月初旬であったにも関わらず、300組以上の登録、約140作品の応募があり、教育の場でも中古流通市場への関心を伺うことが出来たことは喜ばしいことだと思う。また、2段階の審査且つ最終審査を公開プレゼンテーション方式で行ったことにより、案を2度に渡り熟考し、「案=作品」という範疇にとどまらず、実社会と同様に「説明し共感を得る」機会が参加者に与えられたことが良い結果に結びついたと感じた。

☆最終選考会および講評会の様子はこちら(U-Stream)

以下に入選作品の評価を記す:
(作品PDFは第1次選考時の提出作品データです。)



■最優秀賞

“大小の扉” 

信州大学大学院工学系研究科社会開発工学専攻
松嵜 貴紀 立松 裕規

住宅として一般的には欠陥品とも思われる構成と利用者のニーズを詩的な物語としてまとめあげており、プレゼンテーションの方法も構想を巧く表現している。
また、選定した物件の非凡且つ素朴な面白さが、見るものを引きつける力強さを有していた。壮大な作品とはいえないが、全方向の総合的な完成度が評価された。




■優秀賞

“KAZUTOSHI SAKURAI” 

京都造形芸術大学
北川 敦士

住む/仕事する場(=不動産)がその役目を終えたのち、建築/不動産とは全く別の次元でプレミア性を持ち、記念碑として心情的な価値と商業的な価値を両有する空間に変貌するというコンセプトはとても次元が高く、評価された。
無味乾燥な「都心のマンション」をイメージ豊かなストーリーで価値ある空間に仕立てているところに映画的な魅力があり、プレゼンの素朴だけどどこかパンクな雰囲気が印象的であった。




“賃貸アパート5KKKDKDK5R” 

東北大学大学院
佐藤 知
東北大学
今泉 絵里花

理屈ではなく純粋に面白く、直感的でユーモアのあるアイディアと、それを解りやすくまとめている点が新鮮。建築的解決をあえて避け、「使い方」という点にしぼった点、また巷の不動産チラシや既成の住宅市場を巧くパロディ化しつつ、ユーモアで大きな力に対して実は真っ正面からぶつかってゆく姿勢が評価された。




■佳作

“減築の増築2011年 フグ田シラス邸改修計画” 

首都大学東京都市環境科学研究科
岩井 一也

人口減少、超高齢少子化はこれからの日本最大級のテーマであり、ほぼ全ての社会問題がこのテーマと直結している。このテーマに唯一正面から取り組んだ点が評価された。「田の字型プラン」を「中庭をつくる」という手法は 一般の消費者にとってもとても解りやすく好感が持てた。




“既存建築ストックの再生・活用によるまちづくり・再活性化” 

千葉大学大学院工学研究科
梶原 恒平

SOHO/トライベッカ/ミートパッキングエリアなどがなぜ成功したのか?を端的にいえば住居・オフィス・商業の同時開発が行われたからである。そういった「リノベーションによる再生」の分かりやすい構図を一般の人々が感覚的にすぐ解るかたちで提案している点が評価された。




“ジャイアン” 

札幌市立大学大学院
篠原 麻那美

ジャイアンと衰退した商店街の空き家。身近にあるとどちらも「困った」存在。
困った存在のキャラを掛け合わせることで価値を反転させようという、まさにリノベーションならではのアイデア。コミュニケーションを発生させることで衰退した商店街を活性化させるというロジックは地域再生の王道であるが、本作品は「回転床」というユーモラス且つ誰でも面白さを感じるられる点が評価された。




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一般社団法人リノベーション住宅推進協議会