国境離島と記憶の再生(タムタムデザイン+コナデザイン)

その他  /   エリア:長崎県  /   掲載日:2018-08-28

その他  /   エリア:長崎県

掲載日:2018-08-28

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国境離島・壱岐島。車で1周2時間ほどの小さな島にある勝本町の漁港は多分に漏れず人口減少の煽りを受ける。漁港に沿った商店街は活気こそ無いものの、子供たちが戯れる様子はごく少数ゆえ見守りたい状景である。その商店街にある築90年木造3階建てで20年前に閉館した旅館は廃墟となる寸前だった。隣にある酒蔵は雑倉庫として埃や黴まみれで佇んでいた。小さな島にあるこの2つの建物は島民の全員が知っているほどの存在感であり90歳から30歳までの島民の記憶にはそれぞれのドラマが生きていた。幼少期に上がった急な階段の記憶や、父親が宴会で集まった記憶など。聞けば掘り起こされる記憶群。行政も含め島民全体の記憶と意思からこの「旅館と酒蔵」の再生が渇望されていた。そして数々の関係法令のハードルを越え、新たな旅館として再生に至る。酒蔵は島の豊富な素材を提供する飲食店にする事で宿泊客の朝食場と、夜は商店街に明かりを灯す事で島民が集まり、それぞれの記憶が回想される「記憶再生の仕掛け」となる。観光客も少なかった島には欧米人も訪れるようになりインバウンドも順調に進みだした。“LAMP壱岐”と名付けられた旅館は隣接する公共階段が「LAMP坂」と呼ばれるようになり、何より大きい出来事は東京からの移住者がこの旅館と酒蔵を運営し、街の子供たちと戯れる状景を日常に創りだした事だ。この事例は全国の離島再生の糸口として活きれば幸いである。

BEFORE


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国境離島・壱岐島。車で1周2時間ほどの小さな島にある勝本町の漁港は多分に漏れず人口減少の煽りを受ける。漁港の商店街にある築90年の木造3階建てで20年前に閉館した旅館は廃墟となる寸前だった。隣にある酒蔵は雑倉庫として埃や黴まみれで佇んでいた。小さな街にあるこの2つの建物は島民の全員が知っているほどの存在感であり島民全員の希望で再生が渇望されていた。

Before

After

    • 部門
    • 無差別級
    • 間取り
    • 旅館は1階ドミトリー、2,3階は個室。酒蔵は1階飲食ホール。
    • 費用
    • 6900万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他 / 屋外 / 耐震補強 / 断熱改修
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)

物件情報


    • 築年月
    • 1928年1月
    • 構造
    • 木造及びRC造
    • リノベーション面積
    • 684.58
    • 施工期間
    • 4ヶ月
    • 備考
    • 施主:株式会社LIG 共同設計:本田富子(コナデザイン) 施工:有限会社安川建設 協力:原田酒造、柴山琢磨(イキテイク)他、島の皆さま