帽子作家のアトリエ ~信州百年カラマツの夜明け前~

戸建  /   エリア:神奈川県  /   掲載日:2018-08-31

戸建  /   エリア:神奈川県

掲載日:2018-08-31

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建物は高台に建っており、窓を開ければ風がそよぎ視界が開けている。
住まい手は、施主の母であり国内外で活躍されている帽子作家。

今回のリノベーションでは、戸建て1階部分を居室兼創作と展示が行えるアトリエへと希望されていた。
帽子作品と共に元々お持ちの家具や小物はどれも雰囲気があり、空間の素材と色の選定にあたって、それらの背景となることを念頭にカラマツ材とのバランスを精査していった。

カラマツは、時を経て美しい飴色の艶がでる。
今回、ほぼ全ての木材にカラマツを使い、色と素材の選定にも拘った。
帽子の背景となると同時に、表情豊かなカラマツを生かす為、壁面には陰影のあるPORTER’S PAINTSを空間の奥行に応じて色を使い分け、柔らかな光による色と艶、質感が織りなす温かな空間を目指した。
暗かった廊下の壁を取り、在来工法を活かした開放的な空間にすると共に、土台に耐震補強も施した。

「カラマツの優れた生産例、製品化を広め、市場価値を高めることで山へ還元できるようにする。」

想いを託したのは、大正時代から丁寧に育てられてきた樹齢95年の高齢材。

見学会では、予想以上の方にお越し頂き「リノベーションの空間にカラマツの素材感と色合いが美しい」と嬉しい言葉をもらった。

高齢高級カラマツ材の価値が広まると共に、山の価値もリノベーションされることを願う。

BEFORE


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晩秋、信州の山々が黄金色に染まる。

カラマツの植林は歴史が浅く、他の材に比べ優れた事例と流通に乏しいが、適切に育てられたカラマツは美しい柾目と色艶を放ち、100年を超えた優良材として一部に知られる。
しかし、土地を選ばずに植えられた若いカラマツはネジレやヤニが多く、戦後造林は大失敗とまで言われてきた。

近年は構造合板材として見直され、昨年の10月には長野県が80年を超える大径材を信州プレミアムカラマツとしてブランド化を発表する一方、低質材でも売れるようになった為、間伐から一気に皆伐が進み、禿山の拡大が問題になっている 。

施主であり森林・木材プロデューサーの香山氏の下、
「帽子作家のアトリエ」では、高齢高級カラマツ材を造作材や窓枠として用い、新たな市場開拓、製品としての可能性を探る初の試みを行った。

挑戦の舞台となるのは、築47年の木造在来工法の戸建てだ。

Before

After

    • 部門
    • 1000万円以上
    • 間取り
    • 1LDK+アトリエ
    • 費用
    • 1100万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 費用に含まれるもの
  • 水まわり / 居室・その他 / 耐震補強
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)

物件情報


    • 築年月
    • 1971年3月
    • 構造
    • 木造
    • リノベーション面積
    • 51.13
    • 施工期間
    • 3.5ヶ月
    • 備考

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