リフォームの面白さは、「新築ではできないことを考えること」。「真っ白なキャンパスの中に描こうとすると、どうしても既製の枠に収まってしまうのですが、当時建てた家の規制の中で、どう便利にできるのか。変えすぎない方がいいのか。そんなことを考えるのが楽しかったですね。またそれは自分たちの生活スタイルを見つめ直すことにもつながり、良かったと思っています」。
街並みにマッチした古い家にはプライスレス=お金では買うことのできない価値があります。それを継承しつつ自分たちの暮らしに合った価値をプラスしていくのがMさま流の家づくり。断熱も、使う素材も、照明も、さらに庭の緑も、長年培われてきたコミュニティに溶け込む外観も、その一つひとつが安らげる環境を構成する要素であり、何ひとつ欠いてはならないものだと言えます。そうして出来上がった家は、まさに“ホーム”そのもの。オレンジ色の優しい光の下で、穏やかな時間が紡ぎ出されています。
BEFORE
日本の木造住宅寿命は約30年。リフォーム先進国アメリカの生活で触れたリノベーションの魅力、団地住民の高齢化や空き家の社会現象を踏まえ、古い家の価値を継承しつつ、自分達の暮らしに合う新しい価値をプラスする家づくりを選択されました。