「食卓にはPH-5（ルイスポールセン）を吊りたい」という要望から始まったリノベーションプロジェクト。お子さんの誕生を機に賃貸からの住み替えを考えたTさんご夫婦。「どうせやるなら徹底的に自分たちらしく」と中古リノベを選択され、クリエイティブな仕事に就くお二人がまず最初にしたことがコンセプトを立てることでした。
スタディーを重ねる中で、玄関土間から廊下、リビングダイニングを抜け、ウッドデッキから専用庭までの伸びやかな空間の流れを強調するように生まれたのが、ロフト壁やキッチンカウンターの角度を微妙に振る構成でした。
床材はアカシアの無垢フローリングで、テラスに敷いたウッドデッキと線を揃えることで空間に通奏低音を創る。その中に、天井のルーバー材（杉30*100＠225）や壁から持ち出して設置されたテレビカウンター、ラワン材の本棚（無印良品収納のモジュールで割り付け）、角度を振って設置された造作テーブルなどの木のラインが輻輳され、空間に浮遊感と奥行きを生み出しています。
家族の集まるダイニングテーブルの背後にある本棚には、お二人の感覚を培ってきた本が美しく並べられ、愛娘に対する情操教育的な居場所としても位置づけられています。
BEFORE
築16年の中古マンション地上階77㎡のリノベーション。専用庭、タイル張りのテラスなど魅力的な要素はあるものの、平凡な田の字プランの間取りは、クリエイティブなお二人にとってはフルリノベ対象物件。特に玄関側の2室に挟まれた玄関スペースは、圧迫感を感じたようで、愛娘と並んで靴が履ける幅は確保したいとの希望であった。
