「自分たちでやれる部分は、なるべくDIYでやりたいんです」
リノベーション・エキスポ・ジャパン in 東京2017の会場で初めてお会いしたとき、お施主様のM夫妻は目を輝かせながらそう仰いました。ご主人は職場の“DIY部”でも活動をされていましたが、本格的な工事では危険の伴う作業や、プロの技術・資格が欠かせない部分も多々あります。そこで、プランニング、電気・配管工事や壁の造作など特に専門技術が必要な部分は空間社が、塗装や左官、タイル貼りなど内装の仕上げは、お施主様自ら施工をすることに。
今やネットでなんでも調べられる時代ですが、それでもお施主様だけでの施工は容易ではありません。そこで、担当者が必要な工具や資材などを手配し、使い方や施工方法をバックアップ。DIYはご夫婦だけでなく、ご友人やご家族も入れ代わり立ち代わりで手伝いに駆けつけ、少しずつ造り上げられました。
完成してみると、タイルや各部塗装は担当者も驚く美しい仕上がり。珪藻土の壁には塗った人の個性が現れて、多くの方々の想いの詰まった住まいとなりました。
当初想定していたよりも時間はかかりましたが「最後までこだわって本当によかった」とM様は振り返ります。住む前から長時間を過ごしていたので、引っ越しの際にはもう愛着いっぱいだったそう。その後も棚を制作したり、小上がりを造ったりと、DIY熱は冷めやらないご様子です。
BEFORE
既存の間取りは4LDKと、二人暮らしには持て余す部屋数でした。お施主様は「部屋数を減らして、収納を確保しつつLDKをなるべく拡大させたい」というご希望でしたが、この建物は変更を加えられない構造壁が多くある壁式構造。そこで、“ゆるく仕切りながらつながる、大きなリビング+ダイニング・キッチン” を計画しました。西側にあった二部屋をなくし、ゆとりあるダイニング・キッチンとして再配置。リビングとの間には扉を設けずにシームレスに行き来できるようにし、さらに室内窓を設けて通風・採光をシェアしています。
東側は廊下を新設して主寝室とウォークイン・クローゼットを配置。以前は中央にあるリビングから各部屋にアクセスする動線でしたが、用途ごとに３ブロックに分かれたスタイルに変化。家中を余すことなく、スムーズに使える間取りとなりました。
