空間を仕切るものはさまざまあります。
壁だったり、窓だったり、カーテンも、居場所を仕切ることができます。
「壁」と言っても、一般的な天井までのものだけでなく、腰壁や垂れ壁などいくつかの種類があります。
このお部屋のシンボルは、天井まで届かない、大きな穴の空いた壁。窓ではなく、穴が空いているのです。
「壁を立てたくはないけど、仕切りをつけてキッチンを隠したい」というオーナー様の要望が形になっています。
この壁の高さ、厚さ、穴の大きさが絶妙なバランスで、圧迫感があるわけではなく、開放されすぎてもいないように感じます。
マンション自体が壁式構造で、室内には厚みがあり存在感のある壁があるため、その対比として、オブジェを飾ったり、植栽を置いたり、自由な存在になっています。
また工事費の安さもこの住宅の大きなポイント。
リフォームによりキレイだったお風呂とトイレはそのまま活かし、床は既存の上から貼ることで解体費を削減。水回り以外の部屋に扉がないことも工事費を抑えることができた要因です。また、キッチンに採用したのは棚のないシンプルなもの。簡易的なカウンターを対面につくり、市販の家具がスッキリと入るように設計しました。
コンパクトなお部屋の中ながら工夫がたっぷりと詰まっており、担当者自身も思わず住みたい!と思うような素敵なお部屋に仕上がりました。
BEFORE
壁式構造の2LDK。分譲時から一度リフォームをしており、和室は洋室に、キッチン、ユニットバス、トイレは綺麗になっていました。ユニットバスとトイレは、状態が良かったので引き継いでいます。
壁付けのキッチンがある部屋をリビングダイニングに、隣の陽当たりの良い部屋を寝室に、北側の部屋にはハンガーパイプがあり、収納に使われていたようです。
バルコニーに面する窓面積が大きいので昼間は電気なしでも明るく、辺りは戸建ばかりなので3階部分でも十分空を感じられます。
壁式構造で仕切られた部屋をどう使うか、どんな風に生かすのか、非常に悩ましいお部屋でした。