リノベーションを決意してから改めて自分が育った街を見つめ直してみた。自分が暮らしていた時から変わった事、変わらない事。いろんな物が見えてきた。もっとこの街を知るために、近所の高齢者たちで賑わうグランドゴルフにも参加させてもらい、色んな話を聞かせてもらった。自分が育った街は変わらず温く、この街で再び暮らし、子育てをしていくことに安心した。「これからこの街で始める自分たちの理想的な暮らしとは?」いろいろ考えた結果、二つの答えが。「プライベートを確保しつつ、いろんな方とのコミュニケーションが取れる間取りを作りたい。」もう一つは「自分の暮らす家が、今後変化していくライフスタイルに合わせて更新していけるように自分達で手を加えて作りたい。」という事。とはいえ、実家は1・2階合わせて15坪しかないコンパクトな空間。そこで、1階はお風呂とトイレ、LDKを設け、地域の方や友人達を招きやすい空間を。2階は家族だけのリビングに寝室という完全プライベート空間を計画した。水回り工事や床下地などはプロに任せ、無垢のフローリングは子供に見守られながら父親や妻とDIYで。壁や天井の塗装は、友人達を招いてワークショップで塗り上げた。皆で仕上げた家は、はみ出したペンキや工事中についた傷ですら愛おしく感じる。一時は解体も検討された実家は、皆の力が集まって再び息を吹き返し、これからもこの街で生き続ける。
BEFORE
鹿児島のような地方都市でも、地域と人の繋がりが薄れてきている昨今。自分たちが安心して子育てしていくには、地域コミュニティは欠かせない。当時マンション暮らしをしていた中で近隣住人や地域との接点は薄く「こんな環境で子育てをしていて大丈夫だろうか?」と一抹の不安を抱えていた。自身が高校生まで過ごし、その後両親が新たに家を構えたため現在は空き家になっていた元々の実家が解体されるかもしれない。そんな話を聞いたのは昨年の年明けの頃。ふと幼少期の頃、近所で遊ぶ自分の姿を思い出した。普段から空き家活用や地域コミュニティを作る活動をしていたからこそ「自分が生まれ育った家で地域に見守られながらのびのびと子育てがしたい。」という思いがより強くなった。狭く古い家だけど、大切な思いの詰まった家。自分が育った家に自分で手を加えて子育てをしたい。自分たちで暮らしを作る、実家に暮らすDIYリノベーション計画が始まった。