「一人息子が就職を機に家を出て、これは家を変えるチャンスかも?と思って。子供の成長を嬉しく思う反面、どうしようもない寂しさもあって、何かをすることで気を紛らわしたかった。それが私の場合リノベーションだったんだと思います」とKさん。
数10年前から集めてきたアンティーク家具を愛おしく思う気持ちは年々強くなり、『家具の映える空間にしたい』とこれからの20年以上のためにリノベを決意。2LDKの間取りは洋室を子供部屋、和室を夫妻の部屋として使用していたが、夫婦2人暮らしを機に息子さんの部屋をご主人が使用することになった。当初LDKのみリノベ予定だったが「せっかく自分の部屋を持てたのだから」と、奥様の和室を修道院で使われていたベッドが似合う洋館の一室のように変化させた。LDKの壁に選んだのは、空間にそっと馴染む日に焼けたようなクリーム色。せっかくなら床も家具との相性が良い無垢材を敷きたかったと言うKさんだが、「リビングの床くらいは、“20年間この家で暮らしてきた”という家族の歴史を残しておいてもいいんじゃない?」というご主人の粋な一言で、迷うことなく既存の床を利用することに決めたと微笑む。リノベーションなら、住まう人の人生の変化に合わせて家の形を変えていくことができる。夫妻2人仕様となったこの家で第2の人生をスタートさせたお2人を見ていると、リノベの可能性と自由さを存分に感じるのであった。
BEFORE
施主はアンティーク家具が大好きなKさん。
子供の誕生を機に約20年前に購入したマンションで暮らしていたが、
長年住み続けた家に対して愛着がある反面、
「もっとアンティーク家具の似合う空間にしたい」という想いが頭の片隅にあったと言う。