ほぼ竣工当時のままの姿だった建築物。長期保有することを前提に共用部のインフラ設備は新規全更新を行いました。建築基準法上の確認申請対象にならないよう、3階の旧事務所のうち、100平米未満の範囲で賃貸住宅として改装。もともと3階にあったオーナーの自社オフィスは2階倉庫の一角に新設し3階全てを賃貸住宅として貸せるようにしました。
室内の壁や床は既存の仕上げを剥がすだけに留め、倉庫ビル特有の無骨な雰囲気を活かしました。専有部内に新規設置する水廻り設備は1箇所にまとめ、効率の良い給排水ルートとし投資額を抑える工夫を。
また3階ホールには1階倉庫に置かれていた廃棄予定の木製パレットをポイント壁として再活用しました。
現在はビルオーナーが大阪市による特区民泊の認可を取得し宿泊施設として運営しつつ、1・2階では倉庫業・梱包業の町工場としても現役で稼働中です。
BEFORE
大阪市西区本田。一昔前に比べると住宅地化が進んでいますが多数の町工場が現役で、下町の雰囲気漂うエリアです。この地で60年以上倉庫業・梱包業を営むビルオーナー。不安定な市況の中、新規事業として宿泊事業に興味をお持ちでした。当初は1棟すべてを宿泊施設に改装することも検討されていましたが、それには多額の費用と時間がかかり宿泊業が衰退したときのリスクも大きい。それでは、と私たちが提案したのは特区民泊の活用でした。